内容説明
又吉直樹氏(芸人、芥川賞作家)「エピソードが全て凄まじい。街を這いつくばったから見えた景色。それでも降参せずに遊び続けたからこそ見えた風景。」。川村元気氏(映画プロデューサー、小説家)「昭和、平成から令和へ。ひとりの男の記憶を辿ると、そこには東京にかつて在ったもの、失われたもの、新しく生まれようとしている何かが見えてくる。」。人生後半は「青い秋」の切ない季節。新時代に贈る大人のための青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
238
私は著者と同年代、1980年代の空気が再現され、ド・ハマリの本だった。四谷四丁目交差点。アイドル岡田有希子が7階のビルの屋上から飛んだ、あの交差点。社会人になりたての私は、そこを何度も通っていた。「成熟を果たせず、青いまま年齢を重ねてきた」、だから人生の”青秋期”。これも私とダブっていた。本のタイトルはここから、きている。オタクの”名づけ親”でもある著者、その裏話が綴られる「オタク命名記」も特に面白かった。2020/09/10
ophiuchi
18
ほぼ実話に基づくと思われる自伝的な短編が収められている。昭和の終わりごろから平成を通してアイドルやサブカルなどの記事を書き飛ばしてきた著者はほぼ同世代なので、変名になっていてもモデルはほとんど特定できた。中でも中上健次と西部邁とのエピソードは圧巻だった。2019/12/25
れんこ
15
雑誌のコラムでよく目にしていた中森明夫さんの小説。今のアイドルには疎いですが、この小説に登場するアイドルたちはだいたいわかる。読みやすく最後まで。2022/01/14
ころにゃん
8
田舎から大東京に出てきて、都会の喧騒に揉まれ、人気アイドルについて語り、「オタク」を命名し、時代の波とともに生きた作者の渾身の私小説。街を這いつくばり、その時々の経済状況で引っ越し、生き残っている。 P320 歳を取ってわかったことがある。ある年齢までは色んなものが増える。経験は、記憶や知識や感情や、さまざまな持ち物や、さらには知人や友人をふやしていく。だが、ある年齢を過ぎると、逆だ。いろんなものが減っていく。喪失ばかりに襲われる。あれも無い、あれも消えた、ああ、あれもこれも失われてしまったと。2023/12/23
田中峰和
8
本人の筆名も中森明菜のモジリだし、登場人物たちもイニシャルと違って、すぐに思い浮かぶ変名が楽しめた。早咲き過ぎて、その後の低迷が長すぎ、若い世代にはピンとこない人物かもしれないが、80年代の彼の活躍はすさまじい。本人が望んだわけでもなく新人類の旗手ともてはやされたが、彼の知名度を上げたのはオタクの造語を広めたこと。ゴクミや宮沢りえとの仕事でアイドル専門家として認められ、篠山紀信とはいまだに交友関係がある。表紙の写真も彼の写真だ。中上健次からは文学を勧められ、自殺直前まで西部邁と交友があった。人脈もすごい。2019/12/20
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