銀の匙

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銀の匙

  • ISBN:9784255011271

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内容説明

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安野光雅が描く、自らの幼少期の思い出と、少年の目でとらえた美しい世界。
漱石が絶賛した日本文学の不朽の名作が、心に残る情景とともによみがえる。

「本だけは子どものころの続きだった。はるかむかしのことになった今でも、
おもいだすのはきのうのことではなく、少年時代のことである。」――安野光雅

古い茶箪笥の抽匣から銀の匙を見つけたことから始まる、伯母の愛情に包まれて過ごした
幼少期の日々を綴った自伝的作品。
安野光雅によって情感豊かに描きだされた子どもの内面世界は、誰しもの心にある郷愁、
幼き日のさまざまな感情を思い起こさせる。

作:中 勘助
1885年、東京に生まれる。小説家、詩人。東京大学国文学科卒業。夏目漱石に師事。
漱石の推薦で『銀の匙』を『東京朝日新聞』に連載。主な著作に小説『提婆達多』『犬』、詩集に『琅 』『飛鳥』などがある。

絵:安野光雅
1926年、島根県津和野町に生まれる。BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞などを受賞。
1988年紫綬褒章、2008年菊池寛賞、他を受賞。2012年、文化功労者に選ばれる。
主な著作に「『旅の絵本』シリーズ(全9巻)」(福音館書店)、『本を読む』(山川出版社)、
『小さな家のローラ』(小社刊)などがある。
2001年、津和野町に「安野光雅美術館」、2017年、京丹後市の和久傳ノ森に「森の中の家 安野光雅館」が開館。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

303
本書は中勘助『銀の匙』に安野光雅が挿絵を付した特別版。入手した時はこれは豪華でいいなと思ったのだが、読後は必ずしも必要はなかったかなと。むしろ、シンプルに岩波文庫版を読むべきであったか。小説は、おそらく中勘助自身の幼児からの体験に基づいたものであると思われるが、私小説風にではなく、その後の意味付けを含んだ回想として書かれている。大正2年の刊だが時代の風潮、とりわけ男の子は男らしくといった価値観(それを端的に表象するのが兄である)の中で内向的な少年の心情がよく捉えられている。たしかに情けなくなるくらいに⇒2024/07/08

よこたん

60
“地上の花を暖い夢につつんでとろとろとほほえましめる銀色の陽炎のなかにその夢の国の女王のごとく花壇にはここかしこに牡丹がさく、白や、紅や、紫や。” 美しきものを美しいと、可愛らしきものを可愛いと、当たり前に言葉にだせる女の子が羨ましかったのだろうな。幼き頃、心の抽斗にひとつひとつ詰め込んだ宝物のような思い出を、手に取り、眺め、振り返り、丁寧に綴られた物語。虚弱としても、伯母からの過保護すぎる慈しみを一身に受ける姿は、傍目には女々しく、周りが苛つくのもわかる。年老いた伯母との再会の場面には、泣かされた。2020/09/07

クリママ

51
明治18年生まれの中勘助の幼少期と少年期を綴った作品。病弱なため伯母に負ぶわれ、まともに歩いたこともない程過保護に育てられた。日常生活や友達、学校のこと。後半は10歳過ぎ、日清戦争が始まる頃から。感受性豊かな心、率直なまなざしがそのまま文章となって表れる。注釈には安野光雅の挿絵が付き、それがよく合っている。懐かしく見知っているものだが、若い人たちには知らないものばかりだろう。全て直に触ることのできた当時の子どもに比べ、ゲームのボタンしか触らず、スマホの画面しか見ない今の子どもはかわいそうに思った。2020/08/01

ロア

25
淡々とした細かい描写や表現が、とても繊細で美しい(*´ㅈ`*)♡毎晩寝る前に少しずつ読み進めました。✳︎✳︎✳︎本書は現時点で読み終わってる人が私含めて3人しかいないため、読友さん達とも全然共読にならない悲劇発覚( ; ; )さみしいので、読了者数4,000超えしてる文庫の方もいつか改めて読みたいと思います。2019/11/25

ひより

22
タイトルと作者名のみ知るが未読だった作品(こういうのばっかり)。 タイトルがもっと作品と関係あるのかなと思っていたけど、最初のほうに少し出てきただけだった… それはさておき、美しい文体だなぁ。 そして、当時の子供たちの遊びのなんと豊かなことよ! もちろん現代の方が比べ物にならないくらい遊びの種類やおもしろさは勝っているのだろうけど、活き活きさ加減からすると当時の方がずっとずっと上のように感じられる描写だった。 おばさんの存在もとてもよかったなぁ。 また、安野光雅さんの絵がかわいらしくて気に入った。2024/12/12

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