内容説明
江戸の街に忽然と現れ、わずか10か月で消え去った謎の絵師・写楽。その正体については様々な説が論じられてきた。しかし後の世に世界を瞠目させる大首絵が、いかにして生み出されたかについては誰も触れてこなかった。非番の能役者が役者絵を描くようになった経緯を翳を持つ少女との出会いに絡め、江戸の空気まで感じさせるようなリアルな世界観で活写する。「美術界最大の謎」に第4回野村胡堂文学賞受賞作家が挑んだ書き下ろし小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
112
写楽のあの絵は、苦しみの捌け口だったとした、能役者の休みの間の作者としている。軽い感じでも楽しめた2019/11/20
ren5000
27
一応、写楽の話になってますがこれは江戸を舞台とした人情恋物語でその主人公が写楽だった言ったほうがしっくりきます。写楽の正体はなんぞやって期待して読んだ方はちょっと肩透かしかも?僕は面白かったし好きでした。2020/03/20
サケ太
27
沁みる良い話。士分扱いの能役者、斎藤十郎兵衛。彼の隠された特技。彼が出会った少女。許嫁となった女性。少しの食い違いが悲劇となり、奇跡となる。“強い”と称される男の絵。現在も正体に諸説ある“写楽”という男について描かれた作品。己の境遇に、在り方に葛藤し続ける一人の男と女が幸せを掴むまでの物語。「人って多かれ少なかれ誰かに何かを皺寄せしながら生きてる気がします。」己を許せるか。そのために必要な存在。出会えた二人の未来はきっと明るい。2019/09/21
Ayumi Katayama
26
写楽。謎の絵師。活動期間はわずか十ヶ月。その素性も不明。「邪馬台国はどこだ」ならぬ、「写楽はだれだ」であり、研究者の間で侃々諤々の議論を巻き起こした罪作りな人物は、様々な書籍の題材にもなってきた。本書は、その写楽を中心に据えた創作小説。「写楽が何者か」については定説をとる。色っぽい話にドキドキしたり辛い話に涙したり、写楽の人となりや江戸の町の様子を楽しんで、気付けば引き込まれて一気読み。特に絵を描いているシーンは飛び抜けて素晴らしい。写楽の絵を見ながら読むとなお面白いかと思う。2019/10/26
紫
8
令和最初の写楽小説であります。うーん……期待が大き過ぎたかなあ……。身分秩序の厳しい江戸において能役者が歌舞伎役者の似顔を描くということの困難さや確執といった要素は薄め。結局、絵を描くことは写楽にとっては救いにならず、お喜瀬(本書のヒロイン、ただし陰間)の愛に支えられてようやく立ち直ることができるのですが、本書のテーマでこの展開はいいの……? 浮世絵師を主役に据えてこのプロットで物語を作るなら、写楽ではなく、残酷絵の月岡芳年か、土佐の絵金あたりを選んだ方が違和感はなかったのではないでしょうか。星3つ。2019/12/01
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