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内容説明
『臨済録』は禅の基本中の基本の書物です。しかし、語られる内容が矛盾とパラドクスに満ちているために、一般人にとっては非常に理解のしがたい書物になっています。本書では、長年この書に親しみ、自らもそれを指針として禅の修行に励んできた臨済宗の最高峰の一人である高僧が、「ぶっちゃけトーク」も交えながら、やさしくその真髄を語ります。読後にはすがすがしい一陣の風が読者の中を吹き抜けることでしょう。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
20
臨済録について著者の考えを説く。悟りとは何か。大悟するためにはどうしたらよいのか。全てから解放され解き放たれた真の自由を手にするためには、まずそうしたことについて頭が磨り減るまで思考を重ね続けるしかない。学んで修めて悩んで考えて、そんな永遠に続くのかと思えるプロセスの果てに、そうした悩みから、思考する自分自身すら消え去る瞬間がいつか訪れる。そしてその自分を含めた世界から脱却したと思える瞬間を「特別なもの」として考えずに、また思考する自分に戻っていくこと。呪縛と解放を繰り返し生が続いていくことを再確認する。2019/10/01
或るエクレア
8
仏に会いては仏を殺し・・・で有名な臨済録だが全体を通していかにこだわりや先入観を無くすか、本来無事、自由であるかが説かれていた。ものすごくアグレッシブなんだけど外に何も求めないという不思議な感じw。悟りに至ってもすぐに捨てないと迷いの元になるし、これが禅といった途端に禅でなくなるし、やっぱりトンチワールドでした。臨済録を求めてもすぐに捨てないとだめらしいしほんとつかみどころがないw2016/12/22
とし
8
『臨済録』ってのは唐の時代の中国の禅僧・臨済義玄さんの言行録で、この人の禅(臨済禅)が鎌倉時代の日本へ伝わって臨済宗が興った。看話(かんな)禅と揶揄される臨済禅は公案(禅問答)を重要な修行項目とするのだが、『臨済録』は、その禅問答の根本テキストの1つ。直接そのものを読むより、こちらの易しい解説書で読む方がはるかに理解が深くなると思う。本書は対話形式の文章で、超読みやすい。著者の有馬氏は臨済宗・相国寺派の管長(トップ)という禅僧で、この人ほど優しく解りやすく公案を教え諭してくださる方は他にいないと思った。2015/12/17
晩鳥
2
臨済録について対談形式で解説する本。あらゆることから「自由」になることが強調されていると感じた。また、知識を知ることは良いが最後に全てを捨てることが重要というのが印象的だった。2025/07/21
Yasushi I
2
相国寺管長の有馬頼底さんによる、臨済録の解説書。士族の子供としての暮らしから、7歳で禅寺の小僧に出され修行の人生が始まる。臨済録は難しい、しかし言葉の隅々まで鋭く輝いていることを痛感した。「仏に逢うては仏を殺し」何とも強烈だが、悟りの想念を邪魔するものは仏でも取り除けと説く。また「もし人、仏を求むれば、是の人は仏を失す」と、悟りは求める事ではなく限りなく無、そして解脱を体感することと諭す。禅の世界は示唆に満ちている。2021/04/15




