内容説明
日中国交回復40周年記念企画。アヘン戦争、日清戦争を経て、辛亥革命から100年――歴代政権が苦闘した「負の遺産」とその超克を「中国近代史の継続性」を重視する立場から描いた問題作。いまや世界第2位のGDPをもつ「経済大国」、国連安全保障理事国P5の一員である「外交大国」、世界第2位の国防予算をもち核兵器を保有する「軍事大国」に変身した中国にとって、「責任ある大国」に成長する過程は、中国近代史100年来の転換点であり、中国自身も戸惑わざるを得ない「外交革命」だ。清朝末期の屈辱的な外交経験に始まり、日清戦争という「最後の一撃」をくらって清朝が瓦解、かわって孫文・袁世凱が打ち立て共和国が背負った「負の遺産」、そして蒋介石による対日戦争の「史上空前の勝利」を経て、毛沢東・トウ小平が共産中国を超大国に押し上げるまで、中国の政治リーダーたちが共有した苦悩の歴史を「近代史研究のタブー」を超えて描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yokmin
3
「中国の拡張主義を示す証拠はない」(P-175/176)は、素直にはうなずけないが、「近代史の体験で形成したトラウマ、被害者意識から早く脱皮して、今日の中国の大きさ、責任の重さを自覚して、それに相応な新しい外交を展開してほしい」(P-185)は、建設的な見解である。 2013/01/20
asac3310
1
中国の歴史は清、中華民国、軍閥、共産党と分断してとらえられるが、外交の一貫性で歴史をみていくのは新しい観点で面白かった。日清戦争のころは国際社会への外交は日本が優位だったが、日中戦争を通し蒋介石を中心として中国が連合軍の中で政治的に大きな存在になっていくくだりも興味深い。 いま中国でも革命史観にとらわれない歴史を編み出す流れが出来ている。未来志向で東アジアの歴史を考えたい。2012/12/08
ハンギ
0
中国の外交について、その内側のイメージと外側のイメージの乖離を批判しつつ、統一した中国史にむけて歩む、作者の息づかいが聞こえる。文章的にも抽象的な部分が多いけどその分、作者の悩みも伺える。主に開国の前半後半の新しい歴史の発見について重点的に述べており、『海国図誌』の作者の魏源の評価見直しと、袁世凱と国民党の蒋介石の中国本土からの再評価があるそうで、けっこう現代の中国の歴史研究も多様化しているようだ。それに合わせて、歴史教科書は誇張して教えているのではないか、という批判も中国の歴史家から上がっているようだ。2012/11/26
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