内容説明
30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件。死刑
がすでに執行済みにもかかわらず、被告の娘
が再審を請求した。娘の主張が認められれば、
国家は無実の人間を死刑台に追いやったこと
になる。司法の威信を賭けて再審潰しにかか
る検察と、ただひとつの真実を証明しようと
奔走する娘と弁護団。「権力
vs.
個人」の攻防を
迫真のリアリティで描く骨太ミステリ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おか
50
死刑判決を受けてから二年、再審請求をしている最中の死刑執行!民より体制を守る事に躍起になる者共。体制が壊れると民の社会も壊れるのか?!ドキュメンタリーを読むような感じがするが、これはあくまでもフィクションである。しかし 絶対にそうに違いないと思わせる筆力と、今現在の政治への不信感が私の心にあることが フィクションではなくドキュメンタリーと読んでしまう要因でしょう(笑)しかし どちらの側の人間をも しっかりと描き切っている2022/10/16
hrmt
35
青木作品初読み。30年前の事件で既に死刑執行された被告の娘が無罪を求めて再審請求をおこす。威信をかけてそれを阻止しようとする検察側の卑劣さやなりふり構わなさに、この国の有罪率がハリボテに思えてくる。当事者の心中を思って読むと、荒れ狂う嵐の海のように感情の波が襲う。憤懣、軽蔑、遺恨、怨嗟、悔悟…司法権力へも、人間の利己心にも吐き気をもよおし叫び出しそうになる。それでも周囲には支えてくれる善意の人も正義の人もいる…と思っていたら、そんな真相が隠れていたなんて‼︎のめり込む面白さの中で死刑制度の危うさを考えた。2022/03/19
ま~くん
34
既に死刑が執行された男の娘が再審を請求する。冤罪を立証する爆弾の正体とは。国家は本当に無実の人間を絞首刑にしたのか。序章での死刑執行の場面。「俺は絶対にやっていない」と絶叫しながら看守に縄を掛けられるシーンは目を背けたくなった。MCT118という当時警察が採用していた鑑定の精度は各方面から危ういと指摘されていた。にも関わらず死刑判決から僅か2年での執行には何か国家の意図が働いたのか。権力の暴走、保身程恐ろしいものはない。「この国は、父を二度殺した」。冤罪小説の傑作と言っても過言ではないと思いました。2020/06/29
タルシル📖ヨムノスキー
31
状況証拠と危ういDNA鑑定によって殺人事件の犯人にされ、法廷で裁かれ、死刑を執行された後、15年以上経って冤罪の可能性が浮上。その時検察、裁判官、そして国がとった行動は、権力を傘に着た常識では考えられない妨害というか隠蔽だった。こうやって小説の題材になるくらいだから、当たらずも遠からずのことは実際に行われているんだろう。警察官も検察官も裁判官も、もちろん大多数の人は正義の味方なんだろう。でもコレらの人達が結託すれば、簡単に無実の人を犯罪者に仕立て上げることができるということを考えると、なんだか恐ろしい。2020/11/25
ミチル
31
これは埋もれた名作なのではないかと思うくらい、面白かったです。法定ものというよりは法定外での弁護団と検察側の戦いです。重い内容なのですが、物思いにふけて読んでしまいました。良い作品です。2020/09/30
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