講談社選書メチエ<br> 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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講談社選書メチエ
新しい哲学の教科書 現代実在論入門

  • 著者名:岩内章太郎【著】
  • 価格 ¥1,925(本体¥1,750)
  • 講談社(2019/10発売)
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  • ISBN:9784065173947

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内容説明

今、哲学は「人間」から離れて「実在」に向かっている。21世紀を迎えてすでに20年、哲学の世界では大きな変動が起きています。そこで問われているのは、「人間以後」の世界をいかに考えるか、というものです。「ポスト・ヒューマニティーズ」とも呼ばれるこの動向は、思弁的実在論、オブジェクト指向存在論、多元的実在論、加速主義、アクターネットワーク理論、新しい実在論など、狭い意味での「哲学」をはるかに越えた多様な領域に広がりつつあります。本書は、こうした動向の明快な見取り図を与え、自分の問題として考える手がかりを示すために気鋭の著者が書き下ろした渾身の1冊です。本書で取り上げられるのは、2016年に『有限性の後で──偶然性の必然性についての試論』の日本語訳が出版されて話題になったカンタン・メイヤスー(1967年生まれ)、2017年に『四方対象──オブジェクト指向存在論入門』の日本語訳が刊行されたグレアム・ハーマン(1968年生まれ)、そして2018年に日本語版『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)がベストセラーとなって広く名前を知られるようになったマルクス・ガブリエル(1980年生まれ)ら、最先端の哲学者たちです。「人間以後」の世界を考えることとは、「人間が消滅したあとの世界」という、ますますリアリティを帯びつつある世界を考えることだけではありません。それは同時に「人間の思考が届かない場所」を考えることでもある、と著者は言います。それはもちろん矛盾していますが、「実在論」への注目は、そこに現在の人間が希求するものがあることを示唆しているでしょう。それは、別の言葉で言えば、「実在論(realism)」とは「実存論(existentialism)」でもある、ということです。1987年生まれの著者は、「今」に生きることのリアリティを手放すことなく、哲学の問題とは「生きること」の問題にほかならないことを分かりやすく示しています。新しい哲学のムーブメントをただの流行で終わらせないために。未来のスタンダードが、ここにあります。[本書の内容]プロローグ 「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」 第I章 偶然性に抵抗する──カンタン・メイヤスー 第II章 人間からオブジェクトへ──グレアム・ハーマン 第III章 普遍性を奪還する──チャールズ・テイラーとヒューバート・ドレイファス 第IV章 新しい実在論=現実主義──マルクス・ガブリエルエピローグ メランコリストの冒険

目次

プロローグ 「何をしたいわけでもないが、何もしたくないわけでもない」

第I章 偶然性に抵抗する──カンタン・メイヤスー
1 相関主義と信仰主義
2 偶然性・必然性・事実論性
3 亡霊のジレンマ

第II章 人間からオブジェクトへ──グレアム・ハーマン
1 オブジェクト指向存在論
2 四方対象
3 物の超越

第III章 普遍性を奪還する──チャールズ・テイラーとヒューバート・ドレイファス
1 自然科学と人文科学の広さ
2 媒介説から接触説へ
3 新たな広さの行方──多元的実在論

第IV章 新しい実在論=現実主義──マルクス・ガブリエル
1 世界は存在しない
2 意味の場の存在論
3 高さでも広さでもなく

エピローグ メランコリストの冒険

文献一覧
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

46
タイトルの「教科書」、「入門」はちょっとなあ。私にはかつて読んだガブリエル本の読み方がそれ程ズレてはいなかった事を確認できる参考書となりましたが…。原著にまったく触れてない方については参考書としてもちょっと…。/自然科学は意図的に考察の対象を事実に限定することで、人類史上稀にみる広範な客観性の創出に成功したのだ、と。私たちは生きるために認識するのであって、決してその逆ではない2022/09/10

ころこ

28
ポスト・モダンに対する理系からの懐疑に対して、思弁的実在論はカント以後の哲学を模索することでは一致しています。著者の見通しではマルクス・ガブリエルが高いのかも知れませんが、「意味の場」とはカント主義そのものであり、「世界」とはハイデガーそのものです。評価の難しいことを敢えて論じる意欲的な試みは買いますが、感心しないのは比喩によって誤魔化しがあるように読めることです。「高さ」と「広さ」の使い方こそが相関的ですし、マルクス・ガブリエルが最も「高さ」と「広さ」を取り戻そうとしているようにみえます。2020/11/03

無重力蜜柑

18
良著。この手の哲学はメイヤスー以外読んだことがなかったのだが、ガブリエルとかハーマンも読んでみようかと思う。ポモを乗り越える新実在論の哲学を「高さ」と「広さ」つまり超越性と普遍性の回復の試みと捉えて整理する。それが存在論や認識論といった形而上学的な議論(ガブリエルはこの用語法を否定するが)にとどまらず、意味や価値の擁護として個人の人生にも関わってくる。つまり実在論を通した実存論。全ては無価値という失望がニヒリズムだとすれば無価値が所与になってしまったメランコリーが現代の時代感覚という指摘は正しいと感じる。2022/10/01

evifrei

17
現代哲学の概要を示すのみならず、本書自体に深い哲学的洞察が感じられる。メランコリストについて書かれた部分は特に良い。生きていることに棒漠とした寂しさを感じた時には、本書を思い出す事になるだろうという予感と余韻をもって読み終えた。また、現代哲学を高さ(=神・憧れ) ・広さ(=普遍性)というスケールで捉え直すことで、各哲学の特色を具体的に把握しやすくなっている様に思う。(とはいってもやはりガブリエルの新しい実存主義は納得し難いものがあるけれど……。)恥ずかしながら押さえていなかったメイヤスーに興味が湧いた。2020/03/18

koke

11
哲学史の中に思弁的実在論を位置づけ、専門である現象学と比較し批判もしつつ、その新しさと意義がどこにあるのか指摘している。その際、思弁的実在論を実存論的に読んでいるのが面白い。メランコリストは、神のような絶対的な超越性にしか欲望が動かないという。著者がよく引き合いに出す『スカイ・クロラ』は私も2回観たが、1回目は感動して2回目は退屈した。私はどちらかというと著者が陽気な怪物呼ばわりするガブリエルに親近感がわく。テイラーとドレイファスにも共通する実在論+多元論という発想は「リアル」に感じられる。2023/12/27

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