内容説明
爆心地から850メートルで被爆した兒玉光雄の体には、目に見えない放射線の深い傷が残っている。60歳を過ぎてから、がんを繰り返す度「わしゃあ、原爆を生き抜いた男じゃ」と、あらゆる艱難辛苦を乗り越えてきた。先に逝った仲間に想いを馳せ、自らの染色体の傷を晒して核兵器の罪を告発し続ける兒玉の、壮絶な人生の記録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
9
被爆者が長生きするということは、癌との戦いが続くということ。なんと酷なことか。22度のがんを生き抜く兒玉氏、ビジネスマンとしての描写が多いことが途中違和感だったけど、それは放射能の後遺症にさほど邪魔されずに思うように動けた時期があったということなのだな。時限爆弾がいつ作動するかわからない、という残酷さでもあるのだな。著者が自身の所属する組織との折り合いをつけつつ本作を完成されたこと、ジャーナリストとして素晴らしい姿勢と思いました。2019/11/08
どん
4
旧制中学一年の時に学校で被爆した兒玉光雄さんのその後の壮絶な人生を著した本。 原爆投下は人類史上最大の犯罪だと思う。ただ、被爆者は自ら語られず、多くのものはその実態を知らない。 それだけに兒玉さんの存在、この本の持つ意味は大変重く大切にすべきものだ。兒玉さんの生きる姿勢、生きる力には敬意を表する。また著者の取材力や執念も素晴らしい。 本の中の写真にも登場する「ゆうかりの友」の原先輩の娘のみどりさんも広島一中の後輩で、同じ同窓会の者としても多くの人に読んでほしい。2020/02/23
しびぞう
3
泣いた。私は、自分の感情がどうにもならない時に泣く。嬉しすぎても泣く。でも今は、何の感情によって泣いているのかわからない。「はだしのゲン」が学校の図書館から追い出されても、この本があると思った。この本で語られている兒玉氏が原爆ドームの前でこちらを見つめる表紙を持つこの本を、手に取らずに通り過ぎる訳にはいかなかった。著者である横井氏の力量にも唸った。何かを伝えるためには余計なことを書かない、ということの大切さを思い知らされた。2019/10/29
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