新全体主義の思想史:コロンビア大学現代中国講義

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新全体主義の思想史:コロンビア大学現代中国講義

  • ISBN:9784560096994

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内容説明

自由に発言することを望んで、中国社会科学院哲学研究所を解雇された著者は現在、米コロンビア大学で教鞭を執りながら、祖国を見詰める。
本書はそのコロンビア大学で開講されている「現代中国の九大思潮」がもとになっている。
その最大の特長は、現代中国を従来のように権威主義体制として理解せず、「新全体主義」と捉えていることである。
ただ、この強権体制を見る視点は独裁一色というような単純なものではない。
ポスト「六四」天安門の思想状況は、高度経済成長とともに、党=国家体制へと回収されていく強力なナショナリズムが醸成されたのは確かに事実である。
だが、その過程は、グローバル化や通信技術の革新の下で展開しており、一党独裁を支える政治・社会思想はかつてのように一枚岩ではない。
こうした新たな眼鏡を持つことが、一党独裁を掘り崩していく知的な土台になる。本書が「新全体主義の知識社会学」と自ら規定しているのは、この意味においてである。世界的に注目される自由の闘士による中国批判理論構築の試み。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

23
著者はコロンビア大学客員教授。大学での「現代中国の九大思潮」の講義録を元に、各種政治思潮の主張に対して徹底した批判を展開している。著者は憲政自由主義者として、現在の中国共産党の一党独裁体制には一貫して否定的な立場。◇左右のイデオロギーや憲政、独裁等、中国知識界の分裂はかなり複雑な様相を呈しているようだ。単に民主化云々といった次元ではなく、掲げる理想と現実の狭間で様々な思惑も絡み合っているのだろう。共産党自体も一枚岩ではない。リベラリズムは、習近平体制のネオ・ナショナリズムを超えられるのだろうか。2020/08/01

古本虫がさまよう

1
著者は、中国共産党に従属する「社会科学院」にいたけれども、民主的な言論活動を展開したために「解雇」され、その後は監視下にも置かれるという体験を経て、アメリカに「亡命」。コロンビア大学にて講義をしており、それをまとめたのが本書。 中国共産党は、全体主義的政党とはいえ、四人組だの走資派だのとこれまた党内闘争はあった。天安門事件の時も、学生に理解を示そうとする党首脳もいることはいた。 著者は当時、社会科学院の大学院の博士課程にいて、支援の声をあげたそうな。ともあれ、そういった中国の現代の思想史を論じた書だ。2019/07/08

ゆきんこ

0
ぼーっと読んでたら土日消えた2023/06/11

原玉幸子

0
現代中国の九大思潮である、リベラリズム、新権威主義、新左派、毛沢東左派、中共党内民主派、憲政社会主義、儒学治国論、新民主主義回帰論、ネオ・ナショナリズム其々を、論客と共に丁寧に例示する学術書で、「憲政民主なんか本当に志向されているのか」との疑問には、指弾されつつも中国国内で頑張っている人物紹介もある等、網羅的で有難い本です。但し、学術書≠読書、且つ二段400頁は長く辛いので、「共産党一党独裁が諸悪の根源」が持説の著者の各思潮への賛否を題材に、頭の中で小説に転換して読むのがいいでしょう。(◎2019年・冬)2020/04/24

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