内容説明
はからずも医療刑務所へ期間限定の配属となった医師の工藤。矯正医官となった彼が見たのは、罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を受けている受刑者たちの姿。さらに彼の気持ちをかき乱したのは、医師を志望するきっかけを作った男との鉄格子を挟んだ邂逅だった――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
94
医療刑務所へ期限つきで派遣された精神科医工藤。犯罪者の治療は全額税金負担である。彼らにはどこまでの治療が必要なのか。特に罪の反省も見られない受刑者に対してはどうなのかと悩む工藤。ちゃらんぽらんに見えた先輩医師や刑務官にもそれぞれの過去があり想いがあった。そして工藤はそこで子供の頃友人だった受刑者滝沢と再会する。彼の存在がまた工藤に変化を与える。工藤の心情が丁寧に描かれる。最後にひとすじの光が見えてよかった。2020/02/27
ゆみねこ
89
医療刑務所に期間限定で配属された精神科医・工藤守。罪を犯した人間に民間人と同等の医療行為を行うことへの葛藤。幼馴染みとの邂逅と工藤自身が抱える過去の経験。難しい内容の1冊ですが深く印象に残る読書になりました。前川さん、次作も楽しみですね。2019/12/05
さっこ
73
医療刑務所へ期間限定で勤務することになった精神科医の工藤。入所している小学時代の友との邂逅。罪を犯した人たちへの手厚い医療問題を扱っているのかと思ったら、そちらを深く掘り下げているわけではなかったです。親に翻弄された子供の苦しみや、償いきれない罪を背負ったときの生きていく先。どれもそれぞれに答えがでなくて、罪と一生向き合っていく覚悟が必要なのだろうなと思います。2020/12/05
そら
71
医療刑務所内へ出向となった精神科医と、医療を受ける囚人との物語。不本意な出向となった工藤は税金で十分な医療を提供することに嫌悪感を感じ、葛藤する。"囚人"ではなく"患者"として接することは私には想像が難しい。どんな罪人でも健康的に生きることは守られるべき人権なのだ。互いの過去を知る囚人が収監され、幼き頃の工藤の回想が現代パートと交互に語られる。共に働く刑務官の過去や同僚の医師の背景も、工藤に影響を与えていく。非常にセンシティブなテーマだったが、現代社会のひとつの側面を知ることが出来、有意義な読書となった。2022/03/25
凛
66
期間限定で医療刑務所に配属になった精神科医の工藤。罪を犯した人間が、国民の税金によって民間と同等の医療を受けていることに対して、読みながら感じたのは嫌悪感。まだ贖罪の気持ちを持っている者ならともかくと、ついそう思ってしまうのは間違いなのだろうか。医療刑務所内でかつての友人と再会したこともあり、揺れ動く工藤の心につられるように、私の気持ちもぐらぐらと。罪と罰と、それから、病-命と。難しい。正解なんていくら考えても見えては来ない。複雑な思いで辿り着いたラスト、思わず涙が溢れたのはなぜだろう。読んで良かった。2019/12/12
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