講談社文庫<br> シンセミア(下)

個数:1
紙書籍版価格
¥1,100
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文庫
シンセミア(下)

  • 著者名:阿部和重【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2019/09発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062775496

ファイル: /

内容説明

未曾有の洪水に襲われ水没した神町。二つの死体と共に、終戦直後にこの町で起きた忌まわしい惨劇が浮かび上がる。不穏な噂が町を覆い尽くし、やがてそれは町を二分する勢力の全面抗争へ。神の町の狂態の行き着く果ては。小説のあらゆる可能性を追求し、毎日出版文化賞、伊藤整文学賞をダブル受賞した傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かみぶくろ

93
どうしようもないほどに傑作だった。2017/04/09

Y2K☮

27
東北のとある町を襲ったグロテスクで救いの無い悲劇。話の中心である「田宮家」から一字を取ると隠された趣旨が浮かぶ問題作。大洪水は戦争で、暴走する盗撮サークルと自警団は特高や旧日本軍か。明らかに慰安婦を意図した箇所もある。村上春樹もそうだが大江健三郎系は時にシュートを多投し過ぎる。私はあそこまで鋭く胸元を抉る球は投げられないので、スライダーとのコンビネーションでバランスよく勝負していきたい。とはいえ六十数名の登場人物にまとめを付けたのは見事だし群像劇のお手本には違いない。感情移入できるキャラが一人いればなあ。2015/04/29

しゅう

23
全編にわたり不穏で陰鬱な空気に包まれた神町サーガの後半戦。最終盤になって引き起こされる怒濤のカタストロフ。そうきたかー、一気に溜飲が下がる。途中、書店主が女性JA職員に語る郡山橋事件の一部始終が邪魔くさくも感じられたけどちゃんと謎が全て解決した。快感!張り巡らされた全ての伏線を文学的に見事に回収してみせた。素晴らしいとしか言いようがない。阿部和重はこの作品で新たな地平線を切り拓いた。2025/01/14

22
ミニマリズム?そんなものは犬に食わせておけ!総勢60名以上の下衆野郎が織りなす田舎町の狂騒。露悪的で大変胸糞な良質作品でございます。いい人って、面白かったり見た目もある程度ちゃんとしてたりする割に、なんかこうそれ故にいろんなことを考えて揺らいでいる部分があって、それに対して、クズって本当に結構一から十までクズだったりして、しかも無駄に揺るぎない。ある種の誠実さすら感じる。中でも純情をヘドロでくるんだような男、中山正が大好きだ!スカトロ、ロリコン、暴力というクズぶりを爆発させ、下巻はますます快調であった。2024/08/25

ソングライン

22
盗撮グループの悪意の矛先がパン屋一家に向けられ、彼らは街の住民から無視され、ついには迫害を受け、急激に没落し、主人とその長男は非業の死を遂げます。さらに幼児趣味の警官、老人殺しの男、盗撮グループの青年たちも罰を受けるがごとく殺され、事故で亡くなります。一夏の間に起きた地方都市の死亡事件は、人間の欲望の醜さと本当の悪意の存在を浮き彫りにします。救いのない物語、読む前に覚悟のいる1冊です。2020/11/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6719244
  • ご注意事項

最近チェックした商品

 

同じシリーズの商品一覧

該当件数2件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす