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内容説明
ケンぺル、イザベラ・バード、モース、シーボルトほか、幕末・明治期に訪日した欧米人たちは豊富な記録を遺している。「日本には音楽が無い」「男女混浴は破廉恥」「刺身はうまい」「日本の枕はまるで拷問」――。彼・彼女らが好奇・蔑視・賛美などの視点で綴った滞在記や研究誌を広く集め、庶民たちの当時の暮らしを活写。著名な日本滞在記の読みどころも一冊でつかめる、人類学の巨人が「異文化理解」の本質に迫った比較文明論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HMax
34
花の命は短くて苦しきことのみ多かりき。社会人類学者が「逝きし世の面影」を書くとこうなるという本。欧米人から見た当時の日本の情景を懐かしむのではなく、異文化を理解することが、いかに困難なことであるのかを説く。異文化を評価せず、自己の価値観を強要せず、異文化を異文化として容認する寛容さが肝要。日本の混浴は滅んだが、中国の夏の風物詩、お腹を出して歩くオッサン、これからも異人の目を気にせず残してほしい。2019/12/06
hal
10
開国期に日本に来た西洋人が書いた書物を纏めたもの。現代の日本人の感覚はすでに西洋人に近くなったいるかも。風呂が混浴だったことは知っていたが、男女とも、近くの人は裸のまま家に帰るとか、裸でいることは恥ずかしいことではなかったとか、結構なカルチャーショックである。「野蛮」とは何か、「文明」とは何か。今我々が未開人と思ってる人たちも、我々に理解できないだけで、独自の文化があるのかもと思ってしまう。この時期でも、刺し身と絵画と庭園は評判が良かったらしい。2019/12/05
yuuuming
3
今の私たちからすると?!な習慣もある。外国人からみた当時の日本…自分達が異文化に触れた時に同じことを感じてそう。同じとまではいかないけど受け入れがたい…みたいな。入り込むなら同じように振る舞った方がよいとは分かっていながら、手づかみでご飯を食べるのは私はどうしてもできないし。2022/01/16
つまみ食い
3
「日本」という他者に出会った欧米人が、それぞれ異なる観察や見解を日本に加えていて興味深い。2021/12/08
Sanchai
2
最初の3章は読んでいて本書及びその一次資料となった欧米人の日本人観への嫌悪感ばかりが募り、なかなか読み進められなかったが、後に行くほど客観的に日本人と日本社会を捉えている見方が出てきて、ひょっとしたらそういう意図で構成されていたのかなとも感じた。善良な庶民と違い、政治家や役人がやっていることは、幕末も今もあまり変わらないなぁと、『半沢直樹』最終回手前に来ている今、本書を読んでそう思う。2020/09/22