内容説明
少年たちは武装する。それぞれの敵に挑むために。そして、戦い続ける少年たち。――腕っぷしの強い幼なじみのアキラと、都会から来た知的な転校生カツミ。そのどちらとも友達になったケンジは、ある日、残酷な決断を迫られる。時に誇りに顔を輝かせ、時に苦いくやし涙を流しながら、次々に立ちはだかる見えない敵と、渾身の力をふりしぼって戦いつづける、少年たちの姿を描く、胸に迫る長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
piccoro116
1
BEPALでお世話になる阿部夏丸氏ならではの作品。きっとこのような少年時代を送られたのかなと思います。灰谷健次郎作品のような読後感。お子さんの夏休みの読書感想文にお勧めしたい。2016/06/05
うどん
0
ケンジの夏をじっくり書いた作品。 色んな経験をして、少しずつ大人になっていく。大人は子供達にもっと大切な事を教えていかなければ。2017/02/16
バジルの葉っぱ
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なんとなく時間つぶしのために買った本で、大きな期待もしないで読んだのだが予想以上に良かった。見えない敵=自分の存在意義を脅かすものという感じか。それはある時はよそ者だったり、大人たちだったり…。ところでケンジの友人のカツミは、心はどこにあるのかを、どうして知りたがったのだろうか。心=自己と感じているからかしら…?2010/10/03
プリン
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待望の文庫化。一息で読み終えました。都会と田舎の相克という普遍性を持ったテーマが、伊勢湾台風の年に生まれた少年を通して描かれます。表題にある「見えない敵」とは、いわば「心の闇」。深淵なテーマを児童文学の中に盛り込んだ秀作でした。2010/07/25