内容説明
帰蝶の死から八年……。天下統一へ着々と版図を広げる織田信長。妻・煕子が帰蝶に仕えていた明智光秀も、今や織田軍団の出世頭。だが、光秀夫妻は帰蝶の仇を討つことを密かに誓っていた。やがて、信長はひとりの美女を目撃し、直感する。帰蝶だ。生きているのか、それとも幻なのか。すべての「糸」は、本能寺へと繋がってゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
50
ドナ・ビボラとはそういうことだったのか。光秀の本能寺の変はやはり綿密に計画されたものでは無かった。解釈も面白く一気に読了。2020/04/01
てつ
45
歴史小説というより伝奇小説といった方がいいのかもしれないけれど、史料に基づいた記述もあり、面白かった。かつては裏切り者の代名詞であった光秀が、急激に人気が上昇しているのは、その能力と人柄を描く小説が増えたことに起因すると思われますが、本能寺の変のきっかけは謎のままだし、おそらく永遠に続く。この小説は奇想に基づくものではあるがさもありなんという内容。個人的には一番好きな武将は光秀、一番嫌いなのは秀吉、という評価は変わらない。2021/01/19
タツ フカガワ
36
帰蝶の生涯を描く物語かと思っていたら、彼女はすでに死んでいたという予想外の幕開けで始まる下巻は、信長の天下取りから本能寺の変までが描かれますが、そこに帰蝶の亡霊のごとく現れるのがドナ・ビボラという絶世の美女。この美女の正体をはじめ、明智光秀謀反の真相や最終章で登場する二人の若武者などなど、歴史伝奇小説の醍醐味を堪能した作品でした。2021/09/08
igaiga
17
上巻に比べると失速。厚さを合わせたのかどうなのか。上巻は帰蝶の物語として生き生きとしてたのに、下巻に入った途端、史実のオンパレード。ようやくラストまでこぎつけたかという感じ。しかし、帰蝶という人はほとんど資料が残ってないんですね。この方が描いた帰蝶はとても素晴らしい女性でした。2022/01/11
AKI
13
上巻は、登場人物達の内面に迫った内容だったのに、下巻になると、織田信長の全国制覇への史実を追うだけの展開になってしまい、あれっ!?という思いにとらわれました。しかも信長が仇役なので、人間性は良いところ無し。かといって相対する明智光秀もイマイチ魅力が感じられず…ドナビボラも存在感なかったしと、どの登場人物にも思い入れが持てずちょっと肩すかしな読書になってしまいました(^_^;)2019/10/19