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内容説明
まだ西洋というものが遠い存在だった明治期、将来、日本の学問や文学を背負って立つ学生たちに深い感銘と新鮮な驚きを与えた、最終講義を含む名講義16篇。生き生きと、懇切丁寧に、しかも異邦の学生たちの想像力に訴えかけるように、文学の価値とおもしろさを説いて聴かせる。ハーン文学を貫く、内なるghostlyな世界観を披歴しながら、魂の交感ともいうべき、一期一会的な緊張感に包まれた奇跡のレクチャー・ライブ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
125
小泉八雲が東大で英語で講義した授業の内容を池田さんが訳してそのうちから16編を収めてあります。非常にわかりやすい口調での講義なので硬い文学論とは全然異なります。いまだと考えられない気がします。英語での授業なので最近でこそ理解できる学生もいると思うのですが120年も前に理解できた学生もいたのでしょうね。聴いてみたい気もしました。2019/09/14
ぴー
35
ラフカディオ・ハーンの帝大での講義を再現した本。西洋文明に無知ながら賢く熱心な生徒たちへ、自分のあらん限りの知識と経験を伝えたい!熱い火種のような言葉の数々に圧倒される。今となっては当たり前になった概念も瑞々しい。「他国に対して世論を形成してゆく真の力は、文学」、ひとりの作家の死は「王よりも価値がある」場合もある。ロマン主義運動が日本で起こることに強い期待を込め、教え子たちに、社会に出てからどんなに忙しくても書き続けるように伝える、最後の講義は目が熱くなった。こういう思想のもとで、近代文学が生まれたのか。2019/10/17
壱萬参仟縁
28
2004年初出。A「生活と文学の関係」(1917)、B「読書について」(1917)、C「日本文学の未来のために―最終講義」(1915)に注目したい(アルファベットは引用者が便宜的に付した)。Aであるが、詩という芸術は、詩人が僧侶のようにわが家にいて、孤独であることを要求している。社交上の楽しみをきっぱりと拒絶しなければならない(153頁)という。小説というものは、今日では、「人生の鏡」でなければならない(157頁)。小説とは、想像された事柄の描写か、実際に見られた事柄の描写なのである(158頁)。2019/12/30
猫丸
17
元気が出る文学論。最近だと高橋源一郎が試みているような若者を文学に誘惑する仕事である。“ghostly”をキーワードとし、文学は夢と童心から生じるのだ、と迫る熱い講義である。なるほど学生には人気が出るはずだ。簡単な英文で細かい語句解釈に徹した漱石が人気の点で負けるのは致し方ない。漱石は沙翁の文学的効果を論じるに至り、立ち見が出る盛況となった由であるが、いつの世も学生は背伸びをしたがるものなのだ。大学で基本の反復学習を講義せざるを得ない現代は大衆化の負の一面を体現している。教師よ、もっと学生を突き放せ。2020/09/07
ぺったらぺたら子
17
ハーンが見た日本は幻想だと嘲る者は多い。しかし、これを読むと日本に何が欠けているのか、何が必要なのか、はっきりと見詰めていたのが解る。逆に言えば、西洋に何が欠けているのか分かっていたからこそ、日本に見出すものがあったのだ。ブレイクとワーズワスの講義が特に興味深い。このワーズワス部分はまるでハーン論でもあり、ハーンが怪談から何を引き出したのか、それを自ら語っている様だ。ささやかなるものの大切さ。「われわれの身のまわりには、幾千もの美しいひそやかなものが存在している」それを愛でる喜び。優しさに溢れた名講義。 2020/02/26
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