内容説明
心理療法は必ず文化の中で行われる。だから、欧米で生まれた心理療法は、日本文化に合わせて変形したし、教科書に描かれる心理療法は、それぞれのローカルな現場の事情に合わせて妥協されざるをえない。そうやって、私たちのありふれた心理療法は営まれる。本書は、臨床心理学と医療人類学の二つの視点から、そのような文化と心理療法のダイナミズムを明らかにする。臨床心理学の専門性が問われる今、刺激的な心理臨床論が誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
57
【多元的であること、そしてその多元性についてリフレクシブに考えることが出来ること、そういうことがクライエントの生の多様性を支えるものとなる】日常臨床を、医療人類学の視点も加味して理解しようとした書。精神科クリニックの心理士として働いていた6年間の論文を加え年代順に収録。巻末に文献と索引。2017年刊。<この本では、心理療法が「心理学すること」と「関係すること」を成分とした営みであることを論じました。心理療法とは、問題を心理学的に理解することと、クライエントとの間で関係を生きることではないかと考えた>と。⇒2025/04/18
ステビア
13
『野の医者は笑う』の理論編といったところ。こちらも良著です。2018/07/01
言いたい放題
8
面白かったー。私がどこまで理解できているのか怪しいところではあるけれども。けど、私が10代後半〜20代前半にあほみたいなことしてる間に東畑さんは一生懸命論文を書いていたのかと思うと自分が嫌になりました。あと、かれこれ臨床心理学を4年間くらい学んできましたが、臨床心理学にできることには限界があると感じ始めた今日この頃。栄養学の勉強でもしようかな。2023/08/23
のんタコス
7
文章がまどろっこしくて、読んでるうちに何について書いてあるのか分からなくなり(汗) 何度も挫折… 正直、私には難しくて…なかなか進まなかった。 描画療法は興味深かった。 心の病気を定義する難しさを感じた。2022/04/18
素人
7
日々の臨床実践は、ローカルな文化に住まうクライアントと心理療法家が日常的な「交渉」をすることで作られる。筆者はこうした実践のありようを日本の「ありふれた心理療法」と呼び、医療人類学の成果を参照しつつ内側からの視点で記述することを試みている。2022/03/05