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内容説明
真珠湾攻撃に始まり、終戦の玉音放送に終わった太平洋戦争。国力のすべてを傾注して戦い抜いてた三年九ヵ月、しかしその結末はあまりに悲惨であった。大勢はすでに決しながら、多くの人的・物的損害を被ってなお遂行され続けた戦争。当時の戦争指導の諸相をつぶさに検証するとき、そこには近代日本の矛盾がすべて凝縮され、日本人のありのままの姿が見事にさらけ出されていると筆者はいう。大局の見失い、希望的観測に終始し、精神主義に陥り、現場の実情を繰り返されたミスリードの数々。その萌芽は、すでに大戦果をもたらした真珠湾攻撃の段階からあった。とくに連合艦隊指令長官・山本五十六が戦死すると、問題点・矛盾は急速に先鋭化していく。本書は、ミッドウェー敗戦、ガダルカナル撤退、アッシ島玉砕、インパールの惨劇といった代表的事例を中心に、10のテーマをもとに失敗の本質を鋭く分析、日本と日本人に痛切な教訓を投げかける力作評論である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
18
太平洋戦争の敗因を挙げて、凡そ作戦級の失敗を解析。しかし、作戦級で失敗を犯さなかったとしても、戦略級で誤りがあれば、問題外である。戦略とは、個々の作戦における戦術、兵站(人的資源から兵器・食糧など)を含めて、経済・生産・輸送など、戦争を継続するために必要な全てをいう。当時の日帝(大日本帝国)において、主に米英(豪蘭などを入れたほぼ世界全て)と戦う余力はなかった。多く見積もって2~3年が限界で、にも拘らず戦争を遂行しなければならない状況にしてしまったことが、最大の敗因(政治的統治機構を含めた)だと思う。2014/12/12
VC
5
こんな考え方があるのか、ということを知らされた。やはり長年研究されてる方の考えは奥が深い。2011/12/11
AnmitsuK (うろ覚えムーミン)
2
「負けを認めたくない」と安いプライドを惜しみ、いつの間にか「負けるわけがない」という妄想に取りつかれた。そしてその根拠無き妄想が、取り返しのつかない破滅を招いてしまった……なんだか今の日本とダブるなぁ。2013/08/25
大統領
1
同盟国頼りで、戦争のゴールが曖昧だったことに驚いた。玉砕を通常戦略に盛り込んでいたとは最早軍とは言えないのでは。太平洋戦争関連の本を読んでいて毎回思うのは、何で外国と戦争をしているのに陸軍と海軍が歪みあっているのかということ。政治的嗅覚がない、軍人がトップに立ったのがこの戦争の悲劇なのかもしれない。2024/01/04
すいみん
1
戦争終結の腹案が参謀一人一晩ででっち上げられた代物と初めて知りました。というかそんなものが有ったことも初めて知りましたが。アメリカみたいに相手の首都征服するだけの力もないのに落とし所を考えてないんだから勝てるわけないですよねぇ。そもそもどうやったら勝ちなのかちゃんと考えてないんですし……2015/06/16
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