内容説明
スタージョン、スラデック、ラファティ、バラード、ゼラズニイ、ディレイニーらによる14篇を収録の巨大“思弁小説”アンソロジー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
32
19年（令和元年）の税抜1240円の青背初版。3分冊翻訳化再挑戦版の最終巻で14編収録。巻が下るに従い面白くなるアンソだが、読メのレビュー数は逆に減っていく…読者の思弁闇への耐性が試される。作家メンツだけでも凄い…67年時点で全て初出作品だし、ディレイニーなんて作家としての初短編だ。ブランドの作品は“前後即因果の誤謬”、つまり前後関係と因果関係を混同してしまう…前に起こった事が後の出来事の原因だと勘違いする事案を、田舎惑星の頭固い老教授が出張先のバーで卒倒する様を描く事で情け容赦なく表現した。★★★★☆☆2023/10/19
阿部義彦
23
ハーラン・エリスンの危険なビジョン最終3巻を読了。流石に最後の巻は食傷気味で冒頭のスタージョンは読ませるものの他のは、いささか古さを隠せない感じで、ちょっと読むのが辛かったかもです。代用品、スレッサーなんてエリスンの前書きが長い割には書き割りのコントみたいでショートショートでもストイックでウィットに富んだ星新一の足元にも及ばない。唯一バラードのは、暗示的寓話を差し出すのみで余韻が深かった。閑話休題、4年前に亡くなったエリスンだが同じ歳の筒井康隆は未だに現役で勲章も貰ってるんだものねえ。タフですね！2022/12/30
くさてる
17
3巻目のせいか、前2巻のようなハラハラ感はちと薄れてしまったようで、それが残念。時代が作品に追いつき、走り抜けてしまったのかな。スタージョン「男がみんな兄弟なら、そのひとりに妹を嫁がせるか？」題名がすべてな気もしますが、これがいちばん面白かったです。2019/09/28
スターライト
14
ホントにあの伝説的アンソロジーが全て邦訳されて、全部読んじゃったよ！という感慨がまず一番。原著は50年以上前に出たので、「危険度」がにぶってしまったところは否めないが、現実が「追いついて」しまって逆に怖い部分もある。これだけのメンツを揃えることができたのは、エリスンというカリスマがいてこそ可能だったのだろう。衝撃度でいえばやはり巻頭のスタージョン。作品で愛を語るスタージョンだが、ここで展開されるのは「究極の」愛の姿だと言っても過言ではない。私的な収穫はキース・ローマー。彼の作品は未読なので、他も読みたい。2019/08/31
ヴィオラ
13
３巻は、やはりスタージョンかな？ 時代が進んで、宗教とか異性愛に関してのタブーは、結構少なくなってきたと思うけれど、大多数の人にとって「近親相姦」のタブーは依然強力なものとして存在している。この作品は決してそこを肯定するのではなく、「タブーについて、隠すことなく避けることなく、とにかく「考えよう」ということ。あとがき含め、今の日本で読まれるべき作品と強く考えます。 さて、なにはともあれ、３巻無事出版。良きかな良きかな！2019/09/27
