手話の歴史 上 - ろう者が手話を生み、奪われ、取り戻すまで

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手話の歴史 上 - ろう者が手話を生み、奪われ、取り戻すまで

  • ISBN:9784806715603

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内容説明

17世紀革命前夜のパリから出発し、手話を育みながら公的なろう教育の礎を作り、国を超え、
ヨーロッパ・アメリカの2大陸をまたいで、手話コミュニティのネットワークを築いたろう者たち。
19世紀後半から、電話の発明者ベルを筆頭に「善意」の聴者たちが、
ろう者の手話とその歴史を否定していく。
逆境の中で、自らの人間的尊厳をかけて、
手話言語とろう者社会を守ってきたろう者たちの闘い。
これまで知られていなかった手話言語とろう教育の真の歴史を生き生きと描きだしながら、
言語・文化の意味を問いかける名著。

フランス革命やナポレオンの台頭と没落など、歴史の大きなうねりの中、
フランスで生まれ育ったろう少年ローラン・クレール。
クレールが世界初のろう学校で教育を受け、自らも教師となり、
トーマス・ギャローデットの招きを受け、
ろう教育を広めるべくアメリカの地を踏むまでを、
フランスとアメリカのろう教育の変遷とともに語る。

目次

序文

第1部 生まれ育つ手話社会

第1章 ろうの少年の人生が動き出す
ローラン・クレールの生い立ち
フランスろうあ学院に入学
手話との出会い
ジャン・マシュー先生の授業
初恋と反抗

第2章 フランス革命とろう教育
ろうの教育者、ジャン・マシュー
革新者の歩み
革命の嵐の中で
ナポレオンを動かす

第3章 ろうあ学院第二代校長、シカールの功罪
野心家、シカール神父
シカール神父の公開授業
辞書に名を刻んだシカール
栄光と転落

第4章 ろう教育の誕生
劇「ド・レペ神父」の成功
ろう少年誘拐事件
ろう教育の先駆者、ド・レペ神父
劇的展開
容疑者逮捕
ド・レペ神父の献身
誘拐事件の裁判の行方
ド・レペ神父とろう者との出会い
ろう教育と手話言語
方法的手話
方法的手話の限界
ろう教育の発展
ド・レペ神父の晩年
誘拐事件のその後

第5章 話せるろう者
口話主義者の歴史
口話教育成功の嘘
口話主義者ペレイラと、生徒マリー・マロワ
ペレイラと口話主義とキリスト教
ペレイラの秘密の教育法
知の殿堂、科学アカデミーへの報告
ろう者が王に拝謁する
発話するろう者、サブルー
空っぽの秘密
ボネートの手引書
王侯貴族とろう教育
発話教育の祖、ペドロ・ポンセ・デ・レオン
ヴェラスコ家とろう教育
手話への非難
ド・レペ神父の目指したもの
ペレイラの敗北
ドイツの口話主義――アンマンの主張
アンマンからハイニッケへ
イギリスの口話主義――ウォリスの悪評
イギリスろう教育の首領(ドン)、ブレイドウッド
アメリカからの最初の生徒
アメリカにろう教育の種をまいた、フランシス・グリーン
口話主義の歴史の欺瞞

第6章 口話主義者との闘いは続く
手話社会発展のキーマンたち
ろう者の友、ベビアン
ベビアンの苦闘と忍び寄る不吉な影
新たな口話主義者、ジャン- マルク・イタール
アヴェロンの野生児
野生児への教育
名をあげるイタール
野生児教育の限界と挫折
ろう者の「治療」が始まる
ろう者への無理解
耳の訓練から発話指導へ
イタールの転向
イタールの到達点
ろう者への圧制、再び――ド・ジェランド男爵
ド・ジェランドのろう者観
フランスろうあ学院の混乱
口話の強制は続く――デジレ・オルディネール
口話の強制は続く――アレクサンドル・ブランシュ
聞く耳を持たない聴者たち

第7章 アメリカろう教育とトーマス・ギャローデット
ろう教育がアメリカへ
シカール神父のロンドン行き
ローラン・クレール、トーマス・ギャローデットと出会う
アメリカの隣人たち
ギャローデットが育った、ピューリタンの町ニューイングランド
アメリカろう教育の機縁、コグズウェル家
アリス・コグズウェルの病
天賦の才を持つギャローデット
ギャローデット、ろう教育に目覚める
学校で学ぶアリス
リディア・シガニーの行きすぎた、ろう者の美化
ろう学校開設に動き出すメイソン・コグズウェル
根回しを始めるメイソン
ロンドンろうあ学院を視察するトーマス
トーマスに立ちふさがる大きな壁
トーマスの苦悩
エジンバラで打開を図る
イギリスを離れフランスへ
フランスでシカール神父に教えを乞う
トーマスからの誘い
クレールの一大決心
辛い別れ
船出

人物一覧
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

25
言語心理学者である著者が、アメリカにフランスのろう教育を持っていったろう者のローラン・クレールに語らせる一人称の小説形式という体裁が、それまでのろうあ者に対する家畜のような扱いと好対照をなしドラマチックな効果を生んでいる。健聴者こそが全く聴く耳を持たないという人間の驕りと倒錯性が、当時の「文明」の最先端であるパリやロンドンにおいて「文明人」をこそ「未開人」にする。言語表現の一形式にすぎない話す・聞くを自明視というより絶対視してしまうことで、目の前でなされる手話が別の仕方で表現された言語であることが2021/01/14

ドシル

15
ハーラン・レインの原書を翻訳した、手話とろう教育の歴史が書かれた本。 上下巻に分かれていて、こちら上巻はド・レペ神父により始まったフランスのろう教育に関して、ローラン・クレールの視点から書かれている。 一瞬、小説仕立てなのかとびっくり。 ド・レペ神父について、知ってるようで知らないんだなあと思いながら読んだ。上巻の最後は、トーマス・ギャローデットと共にクレールがアメリカへ行くくとになった経緯で終わる。 今につながる、ろう教育の歴史が凝縮されていて下巻も楽しみ。 二段組だし読みにくいけど面白い!2018/09/05

takao

1
ふむ2025/04/25

白い雲。。

1
予想を裏切って面白い。歴史上の人物が生きた人として見えてくる。いよいよアメリカ、下巻が楽しみ。2018/10/19

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