内容説明
国境、人種、階級、法、
あらゆる境界/限界(ボーダー)を超えた麻薬との戦い――
これこそが犯罪小説の完成形。
――解説:杉江松恋
エンタメ直球の疾走感と文学の重み… ウィンズロウの3部作はまさに『ゴッドファーザー』と『戦争と平和』のハイブリット版だ。
――ニューヨーク・タイムズ
グアテマラの殺戮から1年。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死は、麻薬戦争の終結をもたらすどころか、新たな混沌と破壊を解き放っただけだった。後継者を指名する遺言が火種となり、カルテルの玉座をかけた血で血を洗う抗争が勃発。一方、ヘロイン流入が止まらぬアメリカでは、DEA局長に就任したアート・ケラーがニューヨーク市警麻薬捜査課とある極秘作戦に着手していた――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
367
壮大な物語の締めくくりにして、上下巻それぞれ800頁くらいという、超長編。それに相応しく、どっしり緩やかに、膨大な登場人物それぞれの思惑を小出しにし、不穏な空気を膨らませながら序盤は走り出す。多くの読者が、前二作をおさらい再読して本書に臨んでいるのが、読書メーター内でも伺われる。そこまでするに足る、読書体験を提供してくれそうな感触は、上巻時点で十分ある。敢えていえば、『ザ・カルテル』のエピローグと矛盾だらけなことが悲しい。エバと息子二人に関する言及も一切なく"なかったこと"になっているのか、判断に苦しむ。2019/08/11
三代目 びあだいまおう
300
上巻だけで750頁強、しかも1頁に18行と文字もびっしり。つまり普通の文庫本軽く3冊分をかけて物語の半分を終えた。強大な悪に立ち向かう話は割と読んできたがこれはスケールがとびきりデカイ!そしてリアリティーが濃い!ヘロイン流入量が増え、過剰摂取で数多の死者を出す麻薬問題!果てしなくマネーと権力が絡み合う麻薬戦争は、超大物麻薬王の死により激しい主権の奪い合いに。新たな混沌と破壊、疑心暗鬼の極致に、麻薬捜査チームはどんな作戦を?老若男女、人種、立場、法律等あらゆるボーダーを越えた戦いが下巻でどう動くのか‼️🙇2019/10/22
みも
220
時に、感動とは隔絶した次元で茫然自失する事がある。圧倒されるとでも言おうか…つまり僕は、その作品を掌握し切れていない。本著は正にそんな作品。麻薬戦争三部作の完結編。メキシコの麻薬カルテルの実情など毛程も知らない僕でさえ、ここに記された内容は虚構でも誇張でもないと感じるに足る。その圧倒的なリアリティは読者のニヒリズムが入る余地もなく、ただ、知らしめる。ケラーとアダンにフォーカスした前2作とは趣を異にし、人物の頻出、事象の濫出にやや錯雑さも見られるが、それらを補って余りある登場人物の深掘りが作品を重厚にする。2021/05/27
Tetchy
192
「死せる孔明生ける仲達を走らす」という言葉を想起させるかのようにアダン・バレーラは死後もアート・ケラーを奔らせる。アダンいう巨大な存在を喪ったメキシコのカルテルはポスト・バレーラの座を勝ち取るべく、戦国の世に陥った。だが今回ケラーが戦う舞台はメキシコではない。アメリカという病理との戦いがこのサーガの最終幕なのだ。子供だった頃、麻薬という言葉を初めて聞いた時、恐ろしさ故てっきり「魔薬」と書くものだと思っていた。米国が参戦した最も長い戦争は麻薬戦争とのこと。50年も経ち、今なお続いている。私が生まれる前から。2020/03/26
おしゃべりメガネ
173
見たまんまのぶ厚さで、とてつもない大作でした。読書が久しぶりに'戦い'の時間になっていたコトは否めません。『犬の力』から幕を明けた「麻薬戦争」三部作の3作目となり、戦いは終息するどころか、更に激化しています。本書に書かれているようなコトが決してフィクションではなく、実際に起きてるコトなのだと思うと本当に胸が苦しくなります。それぞれが生き残るために、ありとあらゆる手段を用いて戦う姿は哀しくもあります。誰が誰と組み、誰を裏切り、出し抜くのか、1ページたりとも油断できない展開にひたすら圧倒されてしまいました。2019/10/16
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