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内容説明
◆たとえばアップルの製品のように、アメリカで研究開発され、日本や東南アジアで作られた部品が中国に集められ、組み立てられて全世界に輸出されるといった複雑な国際分業体制があたりまえの時代になりました。その結果、通商問題は中国からアメリカにどれぐらい輸出されているかといった単純な問題ではなくなってきています。
また、単純な部品は途上国、高付加価値品は先進国でつくるといった国際貿易の前提も崩れました。途上国に最新鋭の工場が作られ(しかし、その国に必ずしも富は落ちず)、一方で先進国で失業問題が深刻化するといった複雑な新・南北問題が起きています。
◆このような複雑な国際生産分業ネットワークがどのように張りめぐらされ、どの段階でどれぐらいの付加価値が付くのかを膨大なデータを駆使して分析する最新の手法がグローバル・バリューチェーン(GVC)分析です。本書では、東アジア経済の一体化や、米中貿易戦争、第4次産業革命の影響といった国際経済の構造とダイナミックな動きを明らかにしていきます。数式はほとんど用いず、ビジュアルを工夫した図表で直観的に理解できるように解説します。
最先端の研究成果をもとにしながら、グローバルに事業を展開している企業のビジネスパーソンにとっても、知的刺激を受けながら読み進められるわかりやすい内容になっています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
19
思ってたよりも学術的なアプローチで全体にざっと流し読み。2023/10/21
人生ゴルディアス
6
序盤は、産業のサプライチェーンは付加価値を加える行程の積み重ねでできていて、これからは貿易額ではなくそれを調べないとなりませんよ的なわかりきった話で、外れかなあと思ったけど、途中から面白くなった。特に現代のように細かく生産工程が分解されていると、貿易統計を作るのがいかに難しいのかの話のところとか興味深かった(そのせいで中国の対米貿易黒字の影に日本や韓国のそれが隠れているとか)。また産業空洞化に対する業務空洞化等も。ただまだ分野としては黎明期なのかな……物足りないところも多々ありました。2020/12/22
よっしー
4
GVC研究は、国際生産分業の構造と生産活動が生み出した付加価値の分配メカニズムとの関係性を考える学問である。つまり経済グローバル化の勝者が誰であり、またその勝因は、そしてコストは何かについて突き止めることである。生産システムのグローバル化により国際分業体制が複雑化、どの段階でどのくらい付加価値が付いたかが分かりにくくなっている。本書では、様々なデータが示され、理解しやすいところもあったが、専門的な部分は少し難しかった。終章に第4次産業革命として今後注目される技術について述べられており、興味深い内容だった。2021/06/05
田中太郎
3
これもまた示唆に富む本。GVCを原動力にした貿易政策統合は時限付きだ、という予測も極めて興味深い。◯自動化によって先進国の技術リンケージが切れる途上国が続出。◯ICTによるサプライチェーンの共時的な連携と生産性向上。◯金型はモジュール型産業に。◯技術と資本が蓄積した途上国には、途上国優位のGVC入れてやるカードが効かなくなる。◯先進国でカルテルを組んで、途上国を丸ごと切れるか?◯取引類型の5つの型。その経時的な変化。◯付加価値ベースの為替ミスアラインメント。◯付加価値貿易だと、貿易量は2割減る2020/10/25
紗華
2
本書ではGVCを“価値創出/分配のグローバル・ゲームとして見た生産・消費のネットワーク”と定義し、東アジアの国際分業体制や米中超大国の対立を考察する。研究の歴史が浅いものの、産業関連表を用いた付加価値の計測やサプライチェーンの高度化で深まる南北問題など、学べる点は多い。中でもブロックチェーンや3Dプリンターなどの技術革新がサプライチェーンの透明性を改善する一方、広がった情報格差が開発途上国を中進国の罠に陥らせるという考察は興味深かった。GVCと地政学を絡めた著書もあるそうなので併せて理解を深めたい。2024/08/05
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