内容説明
在日に愛され、在日に憎まれた男の真実。
最強の「在日ヤクザ」と称された柳川次郎は、1969年に柳川組を解散すると日韓の架け橋として両国を行き来した。全斗煥時代には政権中枢に影響を及ぼすも、民主化とともに力を失い、志半ばで1991年に没した。
柳川が堅気となった後半生は、これまでほとんど語られたことがなかった。暴力的なイメージゆえに、日本人社会だけでなく在日社会からも白眼視されたからである。日韓戦後史のなかで異彩を放った男の本格評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
102
山口組きっての武闘派 柳川組初代組長 柳川次郎の物語である。戦前・戦後の大阪の裏歴史を在日の視点・ヤクザの視点から描く。 柳川組解散後の 日韓の著名人の裏側が 興味深い。柳川が持つ裏社会の人脈の豪華さは 昭和の裏歴史なのかもしれない。表の外交に 裏のヤクザを必要とした時代の風景が 今に蘇る…そんな本だった。2021/12/02
どらんかー
7
本書のように事実を丹念調べたような本こそ歴史を学ぶ上で必要だと思います。 ヤクザ以外の柳川氏の温かさを知る事が出来ました。2020/01/10
てまり
5
在日(著者がこの言葉について熱く語っているので私も使わせてもらう)の伝説のヤクザの人生と、日韓の政治とのかかわりについて。在日の方の日本での辛酸、放浪者のような立場が伝わってくる。また、朝鮮半島での様々な動きは在日の人々はもとより日本の政治・経済とも深く繋がっていることもよく分かる。柳川は特に日韓の関わりの濃い部分から身を起こしたため、ずっとその渦中にいる人生になったのかなあ。実際に知り合った人々の多くから慕われてたみたいで、そこは心が温かくなりました。2021/03/11
ゆうろう
4
柳川次郎という在日韓国人で元ヤクザの評伝。彼はなかなかに魅力的な人物だったのだろうが、ヤクザの威光が主である限りは、民団の関係者が述べたような否定的な意見になびかざるを得ない。彼が時の韓国軍事政権下の国軍保安司令部と深い関係を構築していたとは驚きだ。また、「日本が高度成長になったきっかけは朝鮮戦争」との彼の発言は正鵠を得ている。しかし、著名人ほど彼との関わりに口が重たくなるとは、何とも情けない。こうして歴史(正史?)は作られていくのかな?多くの取材対象者へ向き合う著者の姿勢、丹念な取材が印象的な労作です。2021/09/12
Yasu
3
面白く一気に読んだ。個人が外国とこれだけの関わりを持っていたということに驚いた。色んなことの裏面を垣間見れた気がする。2021/01/24
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