内容説明
日本列島は世界人類史の痕跡を留める「歴史の実験」場だった。ジャレド・ダイアモンド、トッドらを援用した卓抜な「文学」と「日本」批評。
目次
第一部 実験の史学をめぐって
第二部 山人から見る世界史
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
62
世界史・日本史という意識はもうとっくに古いものとなっているのだなあと思った。藤村と柳田の意外な共通点、柳田が憲法九条に関わっていたことなどはこの本で初めて知った。2019/03/01
シッダ@涅槃
29
一言で言えば柳田国男論なのだが、この日本の民俗学の祖が世界史的視点へと延びる論点を持っていことを汲み尽くした1冊。と同時に、「山人」や「原遊動性」に対する考察は大変哲学的(形而上学的)でありながら、現在の生活風習にも名残を留めたものだと教えられる。◆近年(特に『世界史の構造』以降)のうちいくつかは読んでおいた方が理解は深まるだろう。「贈与の四象限」が突然出て来たりするから。ぼくは『憲法の無意識』のみですけどね。2020/06/22
さきん
23
本のタイトルなら島崎藤村と柳田国男を通してみる日本という感じ。両氏の父は平田神道に没頭するという共通点であり、キリスト教の影響を平田神道は取り入れている。その影響を島崎藤村自身キリスト教に復するという形で、柳田国男は、山人、妖怪等の研究邁進という形で受けている。自分も今は、田舎に移り住んでいて、村の神社の行事に必ず参加しているが祖先というのもそうだが、祖霊というか万物ひっくるめて神々にまとめて意識化して祀っているように感じていて、本書の議論は興味深かった。 2025/02/18
かふ
22
第一部「実験史学を巡って」はなんとなく理解できたが第二部「山人から見る世界史」は拡がりすぎてよくわかなかった。世界史というより柳田国男の民族学(神道)から世界史へ繋げていく思考実験というような。柳田民俗学の再評価。日本の特殊性を語るのではなく、太平洋の島々から海の道を辿って日本の果まで到達した中心じゃなく周縁の可能性、その古来のものが日本の中心ではなく沖縄と東北に共通して残っている風習とかコトバから自然の成り立っていった神道という信仰と思考。2019/10/26
yamahiko
20
親族形態に関する論述が本書全体を概説するように感じた。それにしても、隠喩としての建築と格闘していた自分にとって、現在の柄谷氏の優しい語り口は今昔の感に堪えない。2019/03/30
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