内容説明
日本人は少数民族、すなわちヤマト少数民族である! そう捉えると様々な謎がとけてくる。なぜ粗末な穀物倉庫が伊勢神宮正殿となったのか。秘される大嘗祭で天皇は何をしているのか。今なお、無文字文化の名残を残す中国少数民族に、在りし日の日本の姿をみた碩学が、古事記、万葉集(和歌)、伊勢神宮、大嘗祭をめぐって、本当の“日本古来”とは何なのかを、遥か古代にまで遡って説く日本論の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
10
無文字文化の名残を残す中国の少数民族との比較等を手がかりに、古代日本の姿を探る本。興味深々で読んだのは、ぺー族の歌垣。メロディーラインはほとんど変わらない。愛する人を“兄・妹”と呼ぶ<歌のワザ>の習得は子どもの頃から行われ恋愛における色々な局面を想像を交えて歌う。万葉を思わせます。また、1950年代以降の発掘で、長江流域以南は漢化されるまでは木造建築だったと判明した点も面白い。天武・持統両帝は、伊勢神宮を当時の最先端仏教建築にしなかった―文化の取捨が意図的に行われていた・・・現代へ続く思考を感じました。2019/08/10
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
7
2019年刊。 第1章:近代国家日本の二重構造。 江戸時代までの日本の「内的自己」とは、アニミズム・シャーマニズム神話世界性とムラ社会性・島国文化性。それが文明開化という近代化=西欧化が急速に加わったために分裂的。それぞれにプラス・マイナスの面があり、誇大美化史観も過剰反省史観も克服し、等身大の日本像を直視する必要がある。 第2章:三つの文明開化があった。 一に天武・持統朝、二に明治維新、三に敗戦後。特に一と二は著しい類似性を示している。→2024/09/13
coldsurgeon
6
日本人であることの意識の深層にある、一定の考え方・共通認識を、日本人をヤマト少数民族という範疇でとらえ、考えるもの。ムラ社会性・島国文化性には、人と人との和を大切にする助け合い精神や、寛容の精神という美徳がある。アニミズム系文化には、自然と共生する思想と、自然が与える恩恵に感謝しながら生きる節度ある欲望という利点がある。一方で、不利なことは考えないことにする「空気を読むこと」を美徳とする。日本という国の将来には、目先の利害を優先し、破綻への想像力を放棄する姿勢を改め、現実直視の眼が必要である。2019/07/03
kana0202
1
言いたいことはわかるが、所々、言葉の使い方や論理が甘い気がする。日本について、神道を軸にして語ることの難しさ。神道そのものが曖昧で、一神教がもつ確固たる軸が欠けているからか。 でも都会の街中にも残されている地蔵なんかにジュースやパンが供えられていて、家を建てるときには、地鎮祭をやる国というのは独特であるよなぁと思う。 中国の文化圏(言い換えればそれは、漢字文化圏)の、周辺国、少数民族としての日本という見方は大いに賛成できる。 あとコラムがおもしろい。2020/12/29
イーグルボーイ
0
中国少数民族に、日本文化の源流が残っているとは…あまりに意外で興味深い。辺境ゆえに古代の後進性を残したまま近代国家になった日本。誇りは持っても唯一の歴史文化と勘違いしてはいけない。
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