内容説明
近未来のアメリカ、すべての女性は一日100語以上喋ることを禁じられた。その中で怒りを抱えながら夫と子供たちと暮らす認知言語学者のジーンの生活に、ある日転機が訪れる。声を、愛を、創造を奪われた女たちを描く、いまこの時代に読むべきディストピア物語。解説収録/丸屋九兵衛
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
74
表層的な声の有無を、「(感情の)吐露vs.滞留」の物理状態、そして深層的な記憶の有無を、「(心の)葛藤vs.従順」の心理状態で考えてみる。ジーン/スティーブン/ソニア、3”世代”の差異は、自己・自我の確立レベル。怖いのがソニアに垣間見る、心に宿る痛みに気付かない無条件”反射”の醸成。『パブロフの犬』也。培った哲学・信念は、そんな醸成では翻らないのがヒトの持つ本能。残念ながら、歴史が繰り返されるのもヒトの持つ本能。本著を空想の世界だと、サラリと流せない目の前の悲しき現実。心底の叫びに応えること!ですね。 2019/12/09
keroppi
61
すべての女性が1日に100語しか話せないという設定と「声の物語」というタイトルに惹かれて読んだが、1日100語という設定があまり生きていないし、何でそんなことになったのかもよく分からない。単に大統領の所為なのか。まー、今のアメリカでは、そんなこともあり得るのかな。もう少し、声や言葉というものの深さを期待していたのだが、そんな声は、聞こえてこなかった。2019/06/15
あさうみ
49
まさしく恐ろしいディストピア。この世界を打ち砕こうとする彼女に感情移入してしまう。SFだけの話にして欲しい、ぞっとする展開でぐいぐい読ませる。IFの逸話として魅力がつまっていたが、夫が…不憫ではないか…違うラストだったら申し分ないのに!とワガママです。2019/06/09
tom
27
女と名が付いたら大人であれ赤ん坊であれ、喋ることを許さないという制度がアメリカで成立した。女は男に従うもの、喋ると生意気になる、よって声を奪うというもの。そんな世界の中で人々がどんなふうに暮らしたかを語ろうとする物語。宗教国家アメリカなら、こんなことも起きるかもと思わせるところはあるものの、精密度が不足していてリアリティは?という感じ。かなりご都合主義的な物語の展開が残念。グウィンのSFを思い出して、グウィンは偉かったと思ったのでした。2022/11/19
コニコ@共楽
27
「ファンタジーランド(上): 狂気と幻想のアメリカ500年史」という本を読んでからこの本を読むと、アメリカでいつこのような狂信的なムーブメントが起こってもおかしくないと思えてくる。この物語は“ピュア”な生き方を求める少数の人々が社会を支配するディストピア物語。女性に「声を持たせない」から、生まれつき女性が「声を持たない」状況にするシステムは狡猾だ。前半の力強い説得力に比べて、後半は失速するが、設定は非常にリアルなものだった。2020/05/12
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