往復書簡 無目的な思索の応答

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往復書簡 無目的な思索の応答

  • ISBN:9784255011080

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内容説明

「ここでしか書けない」
言葉の在庫を放出した。

言葉の世界にそれぞれ立ち向かう同年代の作家が、
一年半にわたって新聞上で交わした往復書簡。
それは、いわゆる「往復書簡」とはまったく異なる。
馴れ合いや戦略や俯瞰から遠く離れて、
記憶を掘り起こし、違和感を継ぎ足し、書くことについて考える。
流れから逸脱し、散らばった先でぶつかり合って、
思索が自由に泳いでいく。
「言葉への態度」をめぐる、個と個のあてどない応答の軌跡。
まえがき(武田砂鉄)とあとがき(又吉直樹)は書き下ろし。


「自分の名前で文章を書くということは、なにかを確定させるという意味において身体に文字を彫ることと似ている。
取り返しのつかないことになりかねないし、覚悟が必要な行為でもある」
……又吉直樹(あとがき)

「言葉を重ねていくと、意味が固まってくるものだけど、今回は、意味がただただ点在している感じが続き、生まれたり消えたりした。
それはもしかしたら、とても貴重なことだったのでは、と思っているのです」
……武田砂鉄(まえがき)


【本文より】

武田 極端な話をすると、ジャムの瓶を開けてもらったことで生まれた恋もあれば、ノリの瓶が開かなかったことで離縁を決めた事例もあるかもしれません。

又吉 たとえば、「流しそうめん」は考えようによってはわざわざいったん流すという無駄な行為でしかないのですが、でも楽しいんです。


武田 しょっぱい生姜焼きを「でしょー」と言われながら食べる。文章にもこういうことがあってもいいと思います。

又吉 僕自身、「世に迎合すると鈍る」などと思っていたのですが、「迎合」という認識が間違いで、起爆するための条件と捉えたらどうか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

186
又吉 直樹4作目、武田 砂鉄は初読です。新聞に連載された真面目な往復書簡、二人の人柄が感じられ興味深い内容ですが、あまり面白みはありません。又吉 直樹には、今迄のような短編ではなく、新作の長編小説を期待しています。2019/04/20

mint-s

77
元編集者で現在はライターの武田砂鉄さんと又吉さんの往復書簡。一年半にわたり新聞に掲載されていたそうです。読友さんのレビューにもありましたが、それぞれのエッセイのようでもあり、返信を書こうとしてまた違う思考に転じるような文章はお二人の頭の中の隅っこを覗かせてもらってるようで面白かった!2019/06/02

けんとまん1007

71
このお二人とも、いい印象を持っている。本を読んだり、テレビで観たり。そんな二人のやりとり。文章が、スッキリと入ってくる感じがいい。それに、よく考えた文章であるこっとがわかる。しっかり考え、自分の表現をする・・難しいことだが、目標にしている。2021/10/04

yanae

71
新聞紙面上での又吉さんと武田さんの往復書簡。私はやっぱり又吉さんの考え方とか表現が好きだな、と再認識。優しい。暖かい。そして武田さんのことは初めて知りましたが、こちらもとても才能豊かな素敵な方だと思いました。著作を読んでみたい。こういう頭がいい人同士のやりとりって読んでいて本当に楽しい。日常でふと持つ疑問を二人で話しあうのに、お互い独特な世界を持っているから楽しい。素敵な1冊でした!2019/05/17

鱒子

70
図書館本 又吉直樹さんと武田砂鉄さん、お二人の往復書簡形式の連載をまとめたもの。知的かつユーモラスな、そして時折ギラリと鋭さがあらわれる文章。読み終わってから、表紙と扉絵を何度も見比べてしまいました。この本にぴったりな素敵な装丁です。2020/02/28

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