内容説明
〔人生地理学1〕
原版の序
例言
緒論
一.地と人との関係の概観
二.観察の基点としての郷土
三.いかに周囲を観察すべきか
第一編 人類の生活処としての地
第一章 日月および星
一.日光と人生
二.温熱と人生
三.太陽と精神的人生
四.日本人と太陽
五.太陰ならびに星と人生
第二章 地球
一.地球の形状と人生
二.地球の大きさと人生
三.地球の運動と人生
四.地球の部分と人生
五.水界および陸界
第三章 島嶼
一.島国の特質
二.島の種類と人生
三.貿易上および国防上における島
四.島と英雄および罪人
五.開明時代における島
第四章 半島および岬角
一.半島の特質および成因
二.半島と文明
三.半島の配置ならびに運命
四.半島の利用
五.岬角と人生
第五章 地峡
一.地峡の種類ならびに地峡と人生
二.地頸に対する近世の努力
第六章 山岳および渓谷
一.山の高度と人生
二.山の各部と人生
三.山の集合と人生
四.山脈の方向と人生
五.山脈の成因と人生
六.火山と人生
七.渓谷と人生
八.約論
九.開明人に対する山
第七章 平原
一.平原と人生
二.平原の区別
三.高原と人生
四.河谷低原と人生
五.海谷低原と人生
六.各種平原の分布
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wiki
8
「野人微賤の一子女、呱々一声、すでにすでに命、世界にかかるにあらずや」と、人の一生はどの地に産まれようとも必ず世界と関わっている事を指摘する。自分の着ている衣服から、綿を作ったインドの人を思い浮かべる事が出来る小学校の教員だ。彼に地理を教えられた子は瞬時に世界との繋がりを感じた事だろう。また帝国主義の時代を評して「人の物を盗むものは盗として罪せらるるも、人の国を奪うものは、かえって強として畏敬せらるる時世にあらずや」と。真の愛国心とは、世界をも愛す人物の持ち得るものか。2017/02/07
こうきち
1
文庫版は絶版とのことで、記念に全巻揃えてみました。(今後はKindle版をとのこと)。再読。面白かった。何度も読まないと、内容の深さが理解できないところがあるな。2019/04/05
こうきち
1
難しかったけど、面白かった2016/02/19
wiki
1
巻頭の志賀重昂の序文中に、著者との邂逅が描かれている。著者の、自身の専門に対する情熱に驚きを禁じえない。こんな人がいたのか。明治時代の人らしい、愛国心と大志大望が文章から感じられる。内容は、3回読んでやっと掴めてきた感じ。注釈はあるけれども、慣れない文体で読むのに苦労が多かった。人間の生活と地理との関係性について。島国根性については、成る程と思う。まるで触れたことのない世界だった。著者は小学校の校長をされた方との事で、こんな人の地理の授業ならさぞ楽しいのだろう、受けてみたかったと思いながら読了。2016/03/01
がんぞ
0
牧口も神格化ならぬ仏格化がすすみ、大石寺入門前のこの本も「歴史的名著」と聖教新聞などに書かれているが、通読したところ明治時代らしい愛国的一般的啓蒙書という以上のものではない。「太陽」の項に「日蓮が…微妙の感発をなしたりといい」、「半島」の項に「房総半島の南端より宗教改革の巨人(日蓮)を出したるがごとき」とあるように北海道育ちゆえか、幼少から愛国心とあいまって日蓮信仰に触れていたことがうかがわれるのが興味深い。2011/10/31