ブックレット〈書物をひらく〉<br> 御簾の下からこぼれ出る装束

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ブックレット〈書物をひらく〉
御簾の下からこぼれ出る装束

  • 著者名:赤澤真理【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 平凡社(2019/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784582364590

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内容説明

絵巻物に描かれる御簾(みす)の下からこぼれ出る装束「打出(うちで)」、それはどんな意味を表現するものだったか。建築空間の変容と打出の意匠や意義の変化にみる、「女性の空間」のあり方。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chang_ume

8
絵巻などに描写される女性たちの建築境界外にはみ出す装束裾。これを打出と呼ぶそうですが、その消長を検討するなかで、空間構造や性差役割の変遷を抽出する。打出する人(女房)としない人(女主人)など、絵画史と建築史を交差させながら説得力をもって解釈していく。打出とは女主人の権勢を誇示する空間演出であって、装束を境界外に引き出す役割を男性貴族が担ったこととあわせて、空間とジェンダーの境界を越境するものだったとの指摘が興味深い。巻末でふれられた権力作用としての境界化のテーマについては、もうちょっと読みたかった。2025/04/11

belle

5
晴れの場で女房たちが、褄や袖口をみせることを「打出(うちいで)」と呼ぶ。源氏物語絵巻等で目にする場面だが、大きく膨らんだ袖の存在感は圧倒的だ。著者は~御簾の下からこぼれ出る装束~を、建築史・住宅史も踏まえて丁寧に考察。寝殿造りという開かれた空間と王朝文化を担った女性たちの二つが合わさってこその必然である「打出」。ここぞとばかりにこぼれ出る袖が、いつしか装飾置物化していく過程に社会の変化を見る。建築空間も建具等の登場で閉じられ、女性の存在が希薄になる。物語・絵巻の鑑賞がさらに深まる一冊。さても袖は魅惑的だ。2019/05/01

ロサ🌹ロサ

0
県立熊谷図書館。平安絵巻で御簾から袖や裳裾がこぼれていればそこに女房がいると判断されたが、時代が下るにつれ様式化。女房ではなく飾りの置物にとって代わられる。2020/01/11

新芽夏夜

0
御簾の下から女性の装束の褄と袖口をみせることを打出といい、それによって外にいる男性に女性の存在を示していた。院政期には実際に女性が着用したものではなく、華やかさを演出する装飾として隆盛を極めたが、中世以降になると廃れてていった。 本書では源氏物語絵巻をはじめとする様々な物語絵や日記、記録、当時の建築物の再現図などを多数引用し、中世の行事や儀式の情景を容易に思い描かせてくれる。 また打出が衰退した背景に、建築様式の変化だけでなく、女性の空間が奥向きに限定されていき、男性から分断されていったことを指摘する。2021/04/28

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