内容説明
「スパイ天国・日本よ、目を覚ませ」──初代内閣安全保障室長をつとめ、「危機管理」という言葉を創った男が、最後の告発!
少年時代にゾルゲ事件に関与。警察官僚として米国でスパイ研修を受け、007のように華麗にはいかないスパイ捜査や、ハニー・トラップの実態を学ぶ。国際インテリジェンス・オフィサーとして、戦中戦後の日本を見つめてきた著者の「インテリジェンスなき国家は亡びる」という遺言の書。
解説・伊藤隆
【本書で明かされた佐々淳行の“スパイ大作戦”】
・少年時代に見た、父佐々弘雄と「ゾルゲ事件」
・ワシントンで、CIA、FBIの秘密スパイ研修を受けた
・「ラストボロフ事件」で対ソ協力者に政界・財界の大物が
・外国人スパイを運用し、MI5に監視される
・我が友、MI6のフォーサイス
・各国諜報機関のハニー・トラップの実態
・大物スリーパーとして瀬島龍三をマークしたが──
【本書は単行本『私を通りすぎたスパイたち』を文庫化にあたり改題したものです】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zoe
23
この方の本を読むと、人間が生きていると本当に色々な事が起こり得るのだなと思います。書きたくても書けなかった事は山のようにあるはずですし、口述記録も取られているということで、何年か後、明らかになる事もあろうかと。自問自答と道徳の進化の過程について感銘を受けたのが20歳の頃と読めましたが、自分のその頃は、レポートとスポーツとバイトだったなと。第六章は、スパイ本リストです。本を紹介する本は数あれど、スパイ本ばかりを数あげている例は記憶に無いので、貴重かもしれません。合掌。2019/03/16
CTC
12
3月の文春文庫新刊。単行本は16年、原題は『私を通りすぎたスパイたち』。読友さまの単行本レビューで何度か書店を探したのだが、結果としては文庫化を待ってしまった。佐々さんといえば危機管理のプロ、あさま山荘や安田講堂のイメージが強いのだが、警察庁の外事担当といえば、スパイ対策なのですね。やはり読みどころはラストボロフ事件、そして瀬島龍三ということになる。瀬島といえばシベリア抑留密約や賠償ビジネスに思い至り怒りが湧くが、それすら東芝機械ココム違反事件への関与を目眩ます情報操作か、と思うほど、コレは真っ黒で驚く。2019/03/26
げんまん
9
自分がタイトルから想像していた内容と少し違ったが、筆者が関わってきた「公安部外事課」の活動や、失敗談などもあり、面白かった。6章のスパイ本の羅列は少々残念だった。2019/04/06
hayatama
8
何度も言うけど、この人とは思想信条全く合わないのだけれど、語り口が面白くてついつい読んでしまう。(亡くなりましたねぇ、合掌)で、ご自身の外事警察での経験を振り返る(ぶっちゃけ多数)という内容だったんだけど、あたしが目をむいたのが、瀬島龍三に関する記述。著者はお嫌いだったようだが(珍しく意見が一致)、公職にあった人で瀬島のことを「スパイ」と断じた人は他におらんのではなかろうか。相変わらずの自慢ぶりも微笑ましくすらある。思想信条は全く合わないけど。2019/03/25
α0350α
7
「もう時効だから言うけど香港領事の時にスパイ運用してました!」とか凄すぎませんか。別の本で読んだモノもありましたが、昔のインテリジェンス的な話が満載で面白かったです。2021/12/25