内容説明
ケルト文化は、古典古代のギリシア・ローマ文化のような巨大な規模ではないが、さまざまな面で、世界史的に輝かしい遺産をおびただしく多く残した。その内実を本書は詳しく描いていく。
本書はまた、現代の問題も扱う。ケルト文化といえば、マイナーな文化と受け止められる傾向もあるが、決してそうではない。ブリテン諸島(ブリテン島とアイルランド島)の一部やフランスのブルターニュ地方などでは、古代ケルト人の末裔とされる人々が現在も生き、民族のアイデンティティとなるケルト語を話し、固有の文化伝統を守り続けている。ヨーロッパの「未開の地」に起源をもつケルト文化は、「森の民」にふさわしい生命的で自然的な文化要素を持ち、古代ギリシア・ローマの地中海世界とは異なる文化要素をいまなお発信しているのだ。これらの多面を捉えながら、ケルトを概括的に集約した著作として、本書の意味はとても大きい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
15
「ケルトの歴史を概括的に集約した著作としては、日本国内では先陣を切るといっていい任務を担っていた」とあとがきにあるだけの本である。下巻ではブリテン諸島におけるケルトの歴史と文化を、古代から現代に至るまでを取り上げている。ぬこ田は不勉強にして、ピクト人の「正体」やケルト人の発祥が、現代において解明が進み、20世紀までの定説が大きく変わりつつある事を、学んだ、今日に。全く、常に勉強である。世界が広がるとは、この事である。そんな読書体験ができ、幸福感を覚えている。2021/08/28
tsubomi
5
2021.08.29-09.25:下巻はおもに英国とアイルランドのケルト文化について。特にキリスト教の流入と伝播、各地域の文学の特徴や言語の復興運動とナショナリズム、そして近年のスコットランド独立気運の高まりに関して詳しく語られています。ケルト文化圏内の連帯や交流も活発化していて、フランスのブルターニュと連携を強化している点や、今後の課題としてスペインのケルト文化との関係性、ローマ文化の影響など興味深く、有名なアーサー王伝説の知識の整理にも役立ちました。しかし、誤字・脱字が多いです。2021/09/25
momen
1
上巻の続きで、イギリスとアイルランドにおけるケルト、キリスト教の影響、ケルト時代からアーサー王までの文学、近現代のケルト復興の解説。全体的に駆け足気味ではあるがケルトをめぐる歴史の流れやケルトが文化に及ぼした影響が概観できるので入門として便利。ケルトが敵地を含め様々な地と貿易をし、その交易品や文化的影響が各地に残っていたことに驚いた。ローマやキリスト教の支配下にもケルト文化は溶け込んで完全に消えず、現代でも政治思想から娯楽まで、地元のアイデンティティとしてケルトは愛されているそう。2024/10/25
Mits
1
下巻はブリテンとアイルランドのケルト人について。中世から現代まで。2018/11/05
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