内容説明
体液のように流れる柳田の文体と方法にかたちをあたえ、彼のえがいた稲の人としての「日本人」の鮮明な画像と、そこに見えかくれする「山人」や「アイヌ」の影に徹底した考察を加える「柳田国男論」。丸山の戦争体験の批判を入口に、『日本政治思想史研究』における徂徠学の評価の分析を軸にすえ、丸山政治学が幻想の「西欧」という虚構の立場を設定して初めて切り拓いた地平を検証する「丸山真男論」。近現代の代表的な思想家を俎上にのせ、雄勁なスケールでその核心を論じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉欲棒太郎
2
柳田国男論目当てで読み始めたけど丸山真男論の方が面白かった。吉本による丸山批判は概ね納得出来るが、丸山の大衆蔑視それ自体は間違っていないと思う。それを取り繕おうとすることが良くないわけで。ところで版元はなぜ柳田論と丸山論を一冊にまとめたんだろうか。2015/10/12
mstr_kk
0
それぞれの対象の、無意識的な方法を抉る。残念ながら、柳田についても丸山についても詳しくないので、今回は味わい尽くせた気はしないのだが、勉強し直してまた読み返したいと思わせるような、読んでるこっちを興奮させる文章。柳田論は、民俗学だからやっぱり内容が面白い。地租改正をめぐる議論もワクワクする。丸山論は、スターリニズム論がたいへん興味深かった。2012/12/07