内容説明
週に一度女装して街に出て、男達の視線を浴びるのを趣味にしているサラリーマン・松岡。しかし女装時にナンパされてさんざんな目に遭う。その場を救ってくれたのが、同じ会社の冴えない先輩・寛末だった。不器用でトロいと悪評の寛末と女と誤解されたまま逢瀬を重ねてしまう松岡。ついには恋の告白を受ける。もう会わない方がいいと決心する松岡だったが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
206
別れた彼女の残した服を着て女装を始めるっていうのがせつなくも滑稽に映るが、この物語はもっと深く、読み進めて行くと主人公の松岡にすごく同情してしまう。女装とは気づかずに松岡を異性として恋した寛末の心情の変化もリアルだし、この人なら理解してくれると信じて真相を打ち明けた松岡の純粋な気持ちも、すごくよくわかる。ただ何より難題なのは二人ともゲイなわけではないということだ。困惑して拒絶し、相手の豹変した態度に傷つきながら、心通い合わせてたあの時間は何だったのかと悩み抜く。恋の本質を描く読み応えある心理描写だった。2014/08/06
あも
99
語りたくなる作家。そして言葉を尽くした挙げ句、読まなきゃ分かんないよ!と押しつける。そんな"特別"な作家だ。女装趣味のイケメンと会社の非モテ男。異性愛者同士が戸惑い傷つけ合っても離れられず惹かれ合う。数多のBLと一線を画す理由はここにある。欲すれば手に入ると無垢に信じたのはいつまでか。自分だけを見て、振り回されて夢中になって、必死に無様に愛してよ。たった一人のあなたへの…ささやかで慎ましく、そして贅沢で傲慢な願い。綺麗な物を願う程に醜くなると知る。それでも届くと信じて手を伸ばす。その姿こそが、美しいこと。2018/10/13
ヒロ@いつも心に太陽を!
94
もうさ…「なんで寛末みたいな男に惚れちゃったかなぁ!」っていう。女として愛されていた時と男とわかってからの態度、読んでいて松岡の心中を思うとヒリヒリ痛いわ寛末にいらつくわで!どうなるのか二人が気になって最後まで一気読みしちゃったよ。惚れたら負けだよなぁ本当に。一般に出回るBL作品はノーマル男子もあっというまに男を愛することを受け入れちゃうけど、実際ならばこれくらい葛藤があるのがリアルだろうな。この続きもあるというがここで読むのをやめた方がいい気もするし〜迷う!2013/11/17
ナマアタタカイカタタタキキ
93
女装が趣味のイケてる営業マンが、同じ会社の冴えない男の不器用な優しさに触れ、うっかり恋に落ちてしまう話。自身の心情の変化に戸惑いつつ、女性の姿で逢瀬を重ねる部分は読んでいてドキドキした。が、例の交わったシーンのアンリアル具合にびっくりして一気に冷めてしまってからは…その後のせめぎ合いはよく描かれていたので少し持ち直したものの、どこか白けた気持ちのまま読み終えてしまった。それがBLだ、創作だと言われればそれまでだが。もう少し葉子でギリギリまで粘ってくれた方が楽しめたけど、それは話の趣旨が変わってしまうか…→2020/09/27
rueshё
78
ヘテロセクシュアル(異性愛)という言葉を初めて知った。 腐女子に勧められて読んでみた未開のジャンルの一冊。おっさんずラブ同様、理解も共感もできない。途中まで読んで勧められた腐女子に、そのことを伝えたところ、「恋愛小説だと思って読んでください」と言われて、そう思って読んでみたら、腐女子たちが萌え萌えするのはわかったような気がする。でも共感はできない。ほかのを読んでみよう、とも思わない。2019/01/24