- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
孫娘の素朴な疑問にやさしく答え、資本主義の問題と未来を一緒に考える。
「格差が人を殺すってどういうこと?」
「マルクスっていったい何をした人なの?」
「負債がふくらみ続けているのはどうしてなの?」
「どうして不要なものを買ってしまうのかな?」
「だとしたら、資本主義は悪者なの?」
――まあ、資本主義が生みだした弱肉強食の理念は、根本的に打破されるべきだが、科学やテクノロジーで得た素晴らしい成果は保持されるだけでなく、向上させなければならないと思っている。人の仕事や才能、発明は我われすべての人類に共通する利益に使われるべきで、一部の人間の満足や贅沢、権力のためだけにあってはならないのだよ。
さてと、私たちの夢でもある新しい世界を実現できる条件などについてはあとで話すとして。その前にまずは、資本主義がどこから来たのかを話させておくれ。
(第1章 「資本主義って何?」より)
もっと気軽に資本主義やグローバル経済について話し合おう!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
40
ひと握りの資本家オルガーギーとそれ以外の多くの貧困層。企業の多国籍化と資本の独占化が資本主義的生産様式を形成している。資本主義にとって市場の自由と私有財産は聖域、市場は絶対なのだろうか、という疑問が湧いてくる。そこには善と悪は存在しない。かのよう。携帯電話に使われているコルタンという鉱石の発掘で利用され搾取される子供たちは梁石日の「闇の子供たち」を思い出した。資本主義は公平だが平等ではない、タックスヘイブン、農薬問題、環境破壊、さまざまな問題を孕み、消費のための破壊(戦争)まで起こす。2019/03/06
Tenouji
17
資本主義の「そもそも」について知りたかったので、読みましたw。特に、資本主義が前提としている「自由」について。ここに書いてあることは、現実的な問題としても、かなりショッキングではあるのですが、自由貿易に参加する者の「自己疎外」という弱点を突いてくるあたりが、根深すぎるんですね。世界には自由にしない方が良いものがあるということか…2019/02/20
kurumi
5
孫に語って聞かせる形式なので読みやすい。衝撃でした。遠い国の貧困はかわいそうだけど自分に関係ないと思ってた。買った服がバングラディシュ製だった。安い労働力で資本家に搾取されて作られたということに思いが至らなかった。安く買えてよかったわ、と何の気なしに購入した行動が、バングラディシュの貧困を生んでいたとは。1日に何万人の子供が飢餓で死んでいく世界だと、知らずに生きてきた。それは自分と無関係ではないということ。もう本当に、読むべき。2019/04/16
ねむい
4
著者の立場から考えるにやや偏った根拠による主張なのは留意しつつ、世界の根本が資本主義である限り貧しい者はより貧しくなっていくのは昨今の日本の現状をみても明らかだと思う。封建制から資本主義になったのも、それが世界にとっていいからではなく、権力がそちらに移り変わった=ルールを決めることができる者が変わったというだけだと思ってるので今後も強制的に権力を持つものの意味が変わらない限り、ルールは変わっていかないと思うとしばらくはこのままの世界なんだろうな、と感じる。行き過ぎた世界は揺り戻しが起こりそうだけど2022/10/26
ペカソ・チャルマンチャイ
4
これが世界の現実か。この本に書かれているように、世界は少しずつではあるが良くなっているはずだ。ただ、その間にも犠牲者は増え続けている。人間はあまりにも愚かで醜い。それならいっそ、AIが支配する世界になった方がいいんじゃないかな。2019/04/06