講談社文庫<br> 卍ともえ

個数:1
紙書籍版価格
¥374
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文庫
卍ともえ

  • 著者名:野坂昭如【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 講談社(2019/02発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061312777

ファイル: /

内容説明

大阪・天満、油問屋の黄櫨屋(はぜや)は、人骨を使っての精油法を秘伝とし、天運来福、殷賑をきわめていた。人骨は、墓をあばいて集められたゆえ、骨にまつわる幾百、幾千の男女の怨霊は、黄櫨屋一門にとりつき、狂乱の渦に投げ込む。近親相姦、墓あばき、骨集め、惨殺など、戦慄の地獄絵図が、著者独自の幻想世界を構築する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

58
人骨を精製して油を作る油問屋の黄櫨屋。原料にされた人骨の主は何時しか地獄絵図となって顕現する。怪談、しかも親の因果が子に報い的な古典的な怪談である。普通なら因果の条理を切り捨てた現代の怪談に比べ古臭い感覚を抱くのであろうが、そこは流石著者。江戸時代の名高い怪談や落語の名人芸を聞くような心地で怪談の妙を存分に堪能できる。長編なので同じような趣向を凝らした著者の他の怪談「砂絵呪縛後日怪談」や「骨餓身峠死人葛」の様な張り詰めた緊張感はないものの、どこか四谷怪談に通じるような諧謔を感じる一冊でありました。2025/03/05

三柴ゆよし

18
野坂昭如には江戸時代を舞台にした一連の怪談ものがいくつかあるが、本書は未読だった。ここで怪談というのはあくまで前近代的な意味のそれで、「親の因果が子に報い……」式の因縁譚としての構造が顕著であるということ。人骨を用いた油屋稼業にまつわるもろもろの恨みつらみが、死霊の祭宴というべきクライマックスに向けてずんずん高まっていくさまが凄まじく、まさしく巻を措く能わざるおもしろさである。野坂昭如特有のねっとりと油ぎった文体がテーマとぴったり合致しているのもいい。最高のアンモラル小説。2021/04/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/5481466
  • ご注意事項

最近チェックした商品