内容説明
東大―大蔵省―総理大臣の夢をわが子にかける母。早朝、霜を踏んで寒中受験特訓に励む小学生の群れ……就職に失敗して進学塾を始めた津島には、それはあまりに異様な光景だった――。教師・学生・浪人そして親たちの人生に、このますます加熱する「受験戦争」はどのような意味をもつか? その内幕をえがき、最も切実で緊急なテーマに迫る意欲的長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
6
ずっと前から読みたかった本。大手三大予備校を舞台に、就職に失敗して塾経営と予備校講師を始めることになった津島が主人公。苛烈な受験戦争なども描かれるが、批判的に扱われる訳ではなく、主人公も単純な熱血教師ではない。全体的に冷めたタッチで話は進むが、それが却って作品にリアリティを生み、魅力となっている。モデルとなった予備校に通ったことがあるので、その点でも色々面白かった。にしても、「今日は再び来らず」とはなんていい言葉だろう。こんなに心に残るタイトルにはめったに出会えない。これは折に触れて思い出したい言葉だ。2016/09/25
くーぴーめりー
4
いまでは当たり前のようですが、名物講師がはしりの頃の予備校が舞台。講師の視点から、受験生や社会のあり方を書いています。作者自身が大学の教員をしていたこともあるからでしょうか、声高に教育論を叫ぶのではなく、静かな語り口だからこそ、興味深く読めました。2015/06/18
かりん
4
5:古い作品だが教育業界人必読(笑)。SKYの特徴が出てて笑えた。本屋と花屋と塾。豊富の中の鈍感。高学歴低学力。熱、芸、活。学者、芸者、役者、易者、医者。不安定だから人間らしい。教育のデパート。志ではなく風俗。靴音と拍手。バウチャーへの言及も。2008/11/28
よむよむ
3
半世紀近くも前の話なのに、今もそれほど変わっていないのではないか。城山さんは中立な立場で受験の現場を淡々と描いているけれど、問題意識があってこの作品を世に出したはず。社会は大きく変貌しているのに、エリートと呼ばれる子供たちの教育が十年一日であることに不安を感じざるを得ない。2022/01/30
まる@珈琲読書
1
★★★★☆2011/03/19
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- 洋書
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