内容説明
ベイズ統計学は、機械翻訳、迷惑メール除去など身近なITにも利用され、人工知能やビッグデータ解析にも不可欠の、いまや注目の理論。
だが、統計学界の主流派「頻度主義者」により、「ベイズ」は200年近くの長きにわたり、異端視されてきた。
それでも、第二次大戦中・戦後に暗号解読、敵潜水艦の探索などの軍事面や、保険数理、意志決定理論などの実用面で、ひっそりと発展。
やがて、コンピューターの進歩・普及が、ベイズ統計の劣勢を一気に逆転させた。
ベイズ統計の数奇な遍歴と、統計学者たちのあまりに人間的な諍いの物語が、初めて語られる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
57
読み切るのに忍耐が要った。主観的な事前確率を取っ掛りに使う。16C、ベイズ師が着想、ラプラスが独自に数学的に仕立て上げるも客観性を重んじる統計学の主流、頻度主義からは異端視され続ける。ただ、未だ起こったことのない事象の評価にも使えるなどから、戦時の暗号解読や潜水艦探索などに応用。しかし機密扱いとされ世に知られず。近年、コンピュータの発達に伴い実用的な面が評価され、経営方針策定そして検索・迷惑メール除去などIT関連にも。今や意思決定の補助手段以上”ベイズの脳”そのものが、確率を摸する人間の脳のメタファーに。2019/04/22
ばんだねいっぺい
35
意思決定の根拠となり、世の中を動かす力となる統計。その統計が占いなのか、科学なのかは、どの手法に基づくにかかっている。ことの成り行きは、最近、覚えたばかりのカール・ポパーのそれと重なって見えたが、時間がかかったにしろ、議論を重ねに重ねてきたことは、素晴らしいことなんだと思った。今まで起きなかったことをゼロとするか、起きるかもしれないとイチもしくは、文字をあてがうか。いずれにしろ、とても面白い世界だ。2022/08/08
ツン
33
光秀の定理に出てきたベイズの定理。去年、この定理がちょっと話題になったこともあって、勉強のために買ってみた。でも、読みきれず、途中で積ん読に。。ベイズの説明というよりはその歴史の話でした。トーマス・ベイズさんは牧師で、その理論は保険業界や暗号解読などに役立ったらしい。。2021/02/21
Fondsaule
27
★★★★☆ ベイズ統計が何かというより、どういう扱いを受けてきたか、どんなことに使われていたかというお話。 エニグマの解読に使われていたのか。2022/07/02
Atsushi Kobayashi
15
数式に近くなると微妙に飛ばしてしまって、歴史に注力した本。コンピュータのための統計、というのがよくわります。2019/02/14