内容説明
ナポレオン一世により本質的な変貌をとげた戦争形態たる国民戦争を精密に分析して,近代戦争の特質を明らかにした戦争哲学である.なお,戦史の理論的問題に正しい視点を提示し,戦争と政治・戦争の原型・戦争の本性を明らかにする.軍事専門家のみならず,エンゲルス,レーニンなどにも多くの影響を与えた.
目次
目 次
序 文(刊行者 マリー・フォン・クラウゼヴィッツ)
方 針(著 者)
序 文(著 者)
第一篇 戦争の本性について
第一章 戦争とは何か
第二章 戦争における目的と手段
第三章 軍事的天才
第四章 戦争における危険について
第五章 戦争における肉体的困苦について
第六章 戦争における情報
第七章 戦争における摩擦
第八章 第一篇の結語
第二篇 戦争の理論について
第一章 戦争術の区分
第二章 戦争の理論について
第三章 戦争術か戦争学か
第四章 方法主義
第五章 批 判
第六章 戦例について
第三篇 戦略一般について
第一章 戦 略
第二章 戦略の諸要素
第三章 精神的量
第四章 主要な精神的諸力
第五章 軍の武徳
第六章 勇 敢
第七章 堅 忍
第八章 兵数の優勢
第九章 奇 襲
第一〇章 詭 計
第一一章 空間における兵力の集中
第一二章 時間における兵力の集合
第一三章 戦略予備
第一四章 兵力の経済的使用
第一五章 幾何学的要素
第一六章 軍事的行動の停止について
第一七章 近代戦の性格について
第一八章 緊張と静止
あとがき(訳者)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ビイーン
32
本書はとっつきにくく難解である。近年の日本は平和を語り戦争を回避するだけしか言わない政治家ばかりで嘆かわしい。ウクライナ戦争は他人事ではない。日本もロシアと国境を接し危機感は同じ。クリミア半島よろしく侵略者はすこぶる平和的に少ない兵力で敵国に侵入してくるのだ。2023/08/31
TALOS
9
歴史への認識を深めるためのツールとして読んだ今作品ですが…とても難しかったです。内容が哲学的な部分も多々あることから、毎回頭を抱えながら読んでいました。しかし、戦争という国家プロジェクトを指揮する将軍の心構えのようなものは歴史認識を深めるだけでなく、現代においても生かせるものがあるような気もしなくもありません。このあと時間をかけて中・下巻も読みますが現場の人間の立場で戦争を記した宮本武蔵の「五輪書」と将官・参謀クラスの立場で書かれた今作品は好対照な部分もあると感じます。2018/10/02
isao_key
7
読むのに時間がかかった。訳者の解説にも本書の戦争に関する重要な概念は、すべて全体的、体系的観点から規定されているため、読者も部分を解するのに全体理解をもってする用意が必要になることが書かれている。また同語意義や異語同義語があり、言葉の足りないまた重複している箇所もあるため、読者がそれらを読み分ける必要があるという。戦争の本質について、戦争はけっきょく戦闘力の物理的量を実際に使用して決戦を求めるものではなくて、彼我双方の有する物理的量の比率を勘案して勝敗を決定するにすぎないと、クールに述べている。2013/06/07
KAZOO
7
いよいよ戦略論の古典ともいうべきクラウゼヴィッツの戦争論3巻に取り掛かりました。今まではこの周辺の解説書やリデル・ハートの戦略論を読んできましたが、やはり読むのに時間と忍耐が必要になります。1巻だけを読んだだけなのですが、日本語でもかなり難しい感じがします。この分野に本当に興味のある人でないと最後まで読めないかもしれません。2013/04/07
あかつや
6
戦争とはなにかということを理論的に体系化した本。戦争におけるいちいちを定義して、あやふやな部分を取っ払おうという仕事で、ぼんやりを言葉にするんだから当然ちょっと小難しくなる。「戦争とは一種の強力行為で」「相手に我が方の意志を強要する」を旨とするそうで、現在はウラジーミルくんにそれをやられて世界的に困ったことになっているわけだ。で、そうならないように政治でなんとかならなかったのか、みたいな声が聞こえたりするけど、実は戦争は政治の一形態であり、あくまでも手段の違う「政治の継続」にすぎない、と。ほんと困ったね。2022/03/12