内容説明
哲学のもっとも根本的な問題の探求をめぐるアリストテレスの一群の論文を集録したもの.千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えたばかりでなく,西洋哲学の多くの基本概念を生み出した著作で,そこに示される問題分析の態度や発展流動する弁証法的思考方法は永久に研究者の模範となるものである.
目次
目 次
凡 例
本文の内容目次
第 九 巻
第 十 巻
第十一巻
第十二巻
第十三巻
第十四巻
訳者解説
索 引
訳者注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
114
他の何ものの述語ともされないものを「第一の基体」とする著者の実体研究は、普遍的な或るものを感覚的な個物の外に求めず内在的なものへ求めた点に師プラトンとの大きな違いがあった。現実態が可能態に先立ち、転化の原理のいずれよりも根源的とする彼は、肉体より霊魂を優先し、生成と質料から離れて純粋な独立・不動・永遠の理性的存在「第一の不動の動者」を想定した。「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」で幕を開け、矛盾対立の協調を目指し、自己完結的な体系で神を求める本書は当時の自然科学だからこその力強いロマンがある。2023/12/14
syaori
55
アリストテレスが求めるのは存在の本質と根拠、その原理、個物に「通じる一般的・普遍的なるもの」。ソクラテスとプラトンは各々違うのに同じ「人間」であると認識するのはなぜなのか、地上のものが生成し消滅するその運動の目的は、そしてその運動、転化の究極の原因は何なのか。それを求めて彼は存在の「第一のもの」「不動の動者」に行き着きます。その存在の真偽はともかく、地上の多様なものからその定義や原理をたどって始原のもの、また普遍的なるものに至るその道程と方法論はとても心躍るもので、もう少し彼の思想を知りたくなりました。2021/06/11
イプシロン
37
『形而上学(下)』の白眉は、間違いなくΛ(ラムダ)の巻である。「不動の動者(神)」が立証される部分である。どのように論じられるのかを楽しみながら読んだが、それ以外の部分は、正直苦痛でしかなかった。苦痛の原因はいくつかあげられるが、それは『形而上学』全巻に言えることだろう。とにかくアリストテレスは悪文過ぎるのだ……。「あの」「その」「それら」「あれら」といった関係代名詞が多すぎ、そのたびに訳注で確認したり注意を払わねばならなく、かつ、論説の仕方がワンパターンで、説明を解りやすくしようとして挟まれる比喩も2022/06/02
逆丸カツハ
31
アリストテレスにおいて関係は実体の付帯物でしかない。しかし、それは転倒した見方である。実体が関係の集積物なのであって、人間の知にとって根源的なものは関係の方である。とはいえ、アリストテレスの試みは以上の理由から単純に退けるだけではいけない。何でもありという意味での相対主義者にいかにして抗するのかを考えなければならない。その意味で知(関係)の立場に立ちながら、相対主義者を論駁するという態度が必要になると思う。2024/04/26
めんま
25
あらゆる物事には原因があるという立場から考察を続け、全ての物事の第一の原因である「不動の動者」の概念にたどり着く。それ自体は決して動くことはなく、他からの影響も受けないが、他を動かしているものであるという。アリストテレスはこれを神とも呼び、ゆえに第一哲学を神学とも呼ぶ。しかし、いわゆる神様のような人格を備えたものではないため、混同は避けたい。2021/12/31
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