内容説明
哲学のもっとも根本的な問題の探求をめぐるアリストテレスの一群の論文を集録したもの.千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えたばかりでなく,西洋哲学の多くの基本概念を生み出した著作で,そこに示される問題分析の態度や発展流動する弁証法的思考方法は永久に研究者の模範となるものである.
目次
目 次
凡 例
本文の内容目次
第 一 巻
第 二 巻
第 三 巻
第 四 巻
第 五 巻
第 六 巻
第 七 巻
第 八 巻
索 引
訳者注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
114
「第一の原理や原因を研究する論理的思考な学」について。イデア論の諸見解を批判吟味し、四原因説を交えて積極的に感覚的・具体的な実体について主張を発展。物事をその「自然において」と「我々にとって」との対立において分析考察する手法が特徴で、述語辞典を独自に作り諸概念を分化・固定化させ、難問と向き合うために曖昧さを丹念に退けていく。哲学史上初めて矛盾律を取り上げたり論法の精髄が発揮できるのも土台があってこそ。永遠不動性・個々独立性を追求する彼の形而上学は中世以降のそれとは一線を画し、弁証法的思考の萌芽とも見れる。2023/12/12
syaori
64
存在は「なにゆえそうあるか」を探求する本。師プラトンの存在論はイデア(エイドス)を地上の個物の「上に立つひとつのもの」としてその彼方の美を求める上昇運動でしたが、アリストテレスはそれを引き継ぎつつ地上の個物を見つめ、それらが「そうある」こと、例えば個々には様々な肉体や個性を持つ人間たちを何をもって人間と認識しているのかという存在の本質を探究します。彼は、事物は形相(エイドス)と質量とから成る結合体で、エイドスは事物に内在するとするなど、師プラトンと比べずっと地に足のついた印象。訳注に助けられながら次巻へ。2021/06/07
逆丸カツハ
31
そのものの本質、そのものがそうあるところの本性、「実体」はそれを想定することは、倫理的ですらあると思うが、それは世界内存在者には届かないものだと思う。それは「実体」が存在すると想定してもそうだ。人間が実体の集まりによって構成されたものとする。「実体」は付帯的なもの(関係)ではない。実体は他と区別される「それがそうであるところのもの」であるから「その実体はその実体であり」、「他の実体」ではない。では実体が「他の実体」を知るには、「関係」によるしかない。なぜなら、「ある実体」は「他の実体」ではないからである。2024/04/20
イプシロン
30
とにもかくにも重厚な著作。初読で内容をきちんと理解するのは相当に困難といえる。が、前提知識をある程度もっていれば、なんとか内容の概略は掴めるだろう。そのためには「四原因説」を理解していることが大前提であろう。また、直接言葉にされることの少ない「三段論法」がいかなる論証法かを知っておき、かつ西洋式説明方式(ロゴス)の概念を知っておく必要もあろう。「範疇学」の知識があればそれにこしたことはない。ともかく、前提知識なしで読むと捻挫や骨折をして挫折すること請け合いの大著といって過言はない。とはいえ内容の概略は理解2022/05/09
めんま
28
生物学や言語学のような個別の存在を扱う学問ではなく、それらに通低する「存在」について突き詰める学問についての論考。この上巻に収録されている論文では、存在を取り扱う第一哲学とそれ以外の学問の弁別、議論に用いる用語の説明などがなされる。2021/12/31