ちくま学芸文庫<br> 啓蒙主義の哲学 上

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ちくま学芸文庫
啓蒙主義の哲学 上

  • ISBN:9784480087713

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内容説明

啓蒙主義は、すでに乗り越えられた浅薄な思想なのか。のちの思想家たちから「反省哲学」「過去の思想」という烙印を押されてきたが、はたしてそうか。18世紀啓蒙主義の「明るい鏡」を現代批判の鏡として位置づけ、自らそれとの内面的対決を果たした著者は、批判精神に満ちた鋭い洞察力で、啓蒙主義の思考形式から「美学」の誕生までの諸側面を余すところなく分析し、その統一的結びつきを解明する。哲学者カッシーラーが従来の批判を排し、啓蒙主義思想の再評価を打ち立てた古典的名著。文庫化にあたり全編改訳。上巻は啓蒙主義の思考形式、自然観と自然科学、心理学と認識論、宗教の理念を収録。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

7
1932年ファシズム政権誕生の前年にドイツで上梓された本書は、理性の崩壊と呼ばれる時代で理性の失敗を根本から問い直すように、18世紀に理性概念が全盛を迎えた啓蒙の時代と哲学を検討する。本巻ではラテン語から各俗語へ、神から経験へ、魔術から科学へ転換するルネサンスの理知主義を徹底する「啓蒙の思惟形式」が、神なき時代の自然科学、個人の基盤となる心理と認識の理論、理神論に向かう宗教へ浸透する様を追う。こうして、純粋理性に物自体なる限界を置くカントさながら著者が批判するのは、理性が限界を超えて教条化する過程である。2019/05/01

tieckP(ティークP)

3
圧巻だった。カッシーラーは新カント派だからか、デカルト以降の問いを最終的にカントが解決する謎解きのように図式化しているきらいはある。それは現代において批判されがちなところだと思うけれど、ではその図式はなぜ普及したのか、と考えれば、これだけの説得力のある、広範な哲学者を根拠とした本があるからだろう。僕自身、その図式はぼんやり分かっていたようで、これほど丁寧に、また矛盾なく語られてみると納得せざるをえない。決してページが進む本では無いけれど、内容からすればむしろ分かり易く述べられており、じっくり向き合いたい。2012/08/29

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