内容説明
結婚をして息子をえたパトリックだが、子どもへの強すぎる愛を持つ妻やニューエイジ団体にはまる母に翻弄されるばかり。メルローズ家は過去の呪縛から逃れられないのか? 家族の新しい世代だけが変化への希望だった。英国最高峰の文学賞ブッカー賞最終候補作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
123
幼い頃に受けた酷い虐待。父の死とその前後の麻薬漬け生活。社交界に足を踏み入れた享楽生活。そして、この巻では、動けなくなった母と息子達とのかかわり。まったくもって家族との物語だ。パトリックの人生なのに、自らの仕事や伴侶のことよりも、呪いのように立ち現れる親との関係。とても良かったと思うのは、パトリックの手に仕事があることだ。だから、親の財産の話に引きずられ過ぎない。鳥の話など、彼が人間関係に翻弄され混乱しているときに、動物の描写が挟まれることが多いなと思う。さて、最終巻はいかに2019/03/28
ヘラジカ
38
やはりこのシリーズは全巻通してひとつの作品と見なすのが良いのだろう。もし独立した作品として読むならば、この巻はそれまでの3冊をひっくるめた以上に素晴らしい。未だマザーズ・ミルクを渇望する未熟な少年と「したたり落ちる毒」を裁ちきろうと葛藤する父親の間で揺れ動く様、満たされぬ情欲と肉親への憎しみなどは、簡素な文体ながらもこれまでの苦しみを知っている読者には迫真的なものとして映る。3巻の空虚さはインターミッションに過ぎなかったと感じるくらい濃密だった。いよいよ次は最終巻。パトリックの人生は救済されるのだろうか。2019/01/27
星落秋風五丈原
18
認知症の母親が家を慈善団体に寄付すると言い出しパトリックは思い出の家を出なければならなくなる。結婚して子供もいて「息子に自分みたいな嫌な想いをさせたくない」と思っているのに結局ダメな所を見せてしまうパトリック。2020/05/20
Moca
16
パトリックは英国貴族として弁護士になって、妻と二人息子がいる展開になる。パトリックは父親になって、子供2人養うことになった。最初は長男のロバート視点だったが、途中からはパトリック視点になった。父親と息子の関係性で共通点が所々あるとされている。パトリックは大学時代に付き合っていたジュリアと再会し、再び関係を持つ。最終展開がどうなるのかは5巻で楽しみだ。2020/03/01
一柳すず子
3
パトリック結婚して子供がいる!母との関係に子供たちの視点が入って親子三代の物語となる。最後どうなるんだろ。2021/09/25