内容説明
貴族の家の血に連なる五歳のパトリック・メルローズは、南仏の母の一族の屋敷で、残忍さで人を支配する父とアルコールに頼り続ける母と夏を過ごしていた。そんなメルローズ家にディナーのために訪れたある客人の存在が、パトリックの世界を引き裂くことに――ベネディクト・カンバーバッチ主演ドラマ原作! 5カ月連続刊行の第1巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
132
女性の扱われ方が酷すぎる...。しかし、さすがにイギリス作家。ちゃっかりシニカルな笑いを交えている。デイヴィッドの醜い鬼畜ぶりが、滑稽すぎる。こんなリューマチ男、足を引っ掛けてやればいいのに、ネットに入れたバスケットボールを振り回すふりして頭に思い切りぶつけてやって笑っちゃえばいいのに、なんて思いにさせてくれる。気の毒なエレノアが逆らえないのは理解できないが、彼女が意地悪でなく、彼女の示す反応が少し愚かで可愛く見えるのは、作者から母への愛なのだろうな。5巻のうちの1巻目。2019/03/25
藤月はな(灯れ松明の火)
81
我儘で気位が高い男の子、パトリック・メルローズは貴族階級で愛のない家庭に育つ。そして彼の魂はズタボロに崩れていった…。まず、イヴェットが主人に会いたくない理由に共感しつつもパトリックが生まれるようになった理由やディビットがパトリックにした事を全く、反省も後悔もしていない事に愕然。そして男どもの傲慢さや冷血さには唾棄しかない。また、ブリジットが出ていくのを衝撃を持って見守るしかないエレノアの気持ちを考えると知性や親からの地位があるが為に自由になれず。縛られる人生もあるのだと思い知り、暗澹たる気分にさせられる2019/03/13
吉田あや
68
フィッツジェラルドやカポーティの世界を彷彿とさせる上流階級の人達を巡る、煌びやかな富の中で乾ききった孤独と歪み。全編を彩る重く粘着質な空気と、神経質な怒りが充満した閉塞感にゆっくりと絡めとられ、息を詰めて読んでしまう。哲学的で文学的な会話が軽妙なテンポで繰り広げられながらもその実、退廃的で他人にも家族にも興味がなく、自己愛と虚無に包まれた人達の冷淡さに体の芯まで冷たくなっていく。辛い幼少期を経て大人になった主人公パトリックがどんな未来を歩いているのか、作者の半自叙伝的この物語の続きが待ち遠しい。2018/10/22
ヘラジカ
41
あとがきの言葉から推察するに、訳者本人もこの作品単体では魅力が伝わりづらいと考えているのではないか。思ったよりはあっさりと読めるが物語として面白いかと問われるとすこし考えてしまう。シリーズ1巻と言うよりも長編小説の第1章を読んだような感覚。パトリック以外の登場人物の視点が雑多に描かれているのでとっ散らかった印象もある。この「ネヴァー・マインド」自体は1992年に発表されているらしいが、ドラマが話題になった今、全巻まとめて刊行するのは恐らく正しいのだろう。同じ年に発表された2 巻を読むまで評価は保留かな。2018/10/21
星落秋風五丈原
25
息子だけでなく妻もまた夫デヴィッドに大小のプレッシャーを受けていたことがわかる。妻は酒に逃げられたが息子は?2020/05/16
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