内容説明
文学に精進しつつ95歳の天寿をまっとうした作家が、その生涯に敬愛し、私淑した文士たちの風貌と姿勢を生き生きと描出する。鴎外、漱石、志賀直哉から小林秀雄、田中貢太郎、太宰治、中野重治ら30余名。講談社名著シリーズ版『風貌・姿勢』に拠る、作家・文士の風貌と個性を見事に活写した随筆集。
感想・レビュー
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フリウリ
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「ぼくは太宰の作品も好きであるが、人となりをまだ好きであった。太宰は小説が書ける。ぼくは小説の書ける人が好きだ」p119。井伏鱒二は無類の小説好きである。小説を書くのは人である。ゆえに、小説を書ける人が好きになる。太宰だけでない。例えば正宗白鳥、森鴎外。岩野泡鳴、梶井基次郎、中野重治。すぐれた小説を書く人を尊敬し、その秘密を井伏なりに探究する。その「小説オタク」ぶりに、アタシは感動する。本書の幾編かは福武文庫の「文士の風貌」に収載されていたと思う。小説好きにとっては、読み応えのある、尊い本である。92022/11/11