内容説明
住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がいいそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨げられずに午睡ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るような事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤縁のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推理。/【収録作】「指輪」/「眼鏡」/「黒いハンカチ」/「蛇」/「十二号」/「靴」/「スクェア・ダンス」/「赤い自転車」/「手袋」/「シルク・ハット」/「時計」/「犬」/あとがき/解説=新保博久
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
89
【2021年色に繋がる本読書会】【月イチテーマ⠀イロ】ニシ・アズマは、現場百回というような物証第一の刑事タイプではない。かといって、ポアロのように犯人の心理を探るというタイプでもない。彼女は、ただ何事も見逃さない冷静な目を持っているのだ。この12の短編は、昭和32年に発表されたものどというが、古さをいっこうに感じさせない。むしろ、ちょっとレトロな雰囲気から、品の良さ瀟洒なイメージを受ける。作者は推理小説家ではなく、短編の名手といわれている。この作者の作品は初読みだったが、他の作品も読んでみたくなった。2021/03/06
コットン
76
とぼけた感じのほのぼの小説が小沼丹の持ち味だと思ったら推理小説も書いていたとは驚き。単行本が昭和33年刊行なので流石にカタカナの使い方は古さを感じるがユーモアは健在で恩師ハマムラ助教授をハムちゃんといったり、主人公ニシ・アズマ先生が名推理を働かせるときはメガネをかけているなどのパターン化が笑いを誘う。2015/01/17
みっぴー
61
タイトルを見て、これ絶体怖いやつ、と思ってたら、なんと日常の謎で驚いた驚いた(^_^;)ただ、悪意や殺人も有り、そっちに絡んだら話が個人的に好きでした。「眼鏡」と「蛇」が抜きん出て良かったです。一話がかなり短いので、内容を紹介しようとしてもネタバレになりそうなので控えます。日常の謎が好きな方、読んで損はないので、是非読んでみてほしいです。2018/01/26
雪紫
53
女学院の英語教師ニシ・アズマ先生が色んな季節の中で様々な謎をいつの間にかさくさく解く短編集。1編が短いため、え、もう終わったの?感も強めながら悪くない読後感でさくさく進む。好みは「指輪」「蛇」「十二号」「スクエア・ダンス」「シルク・ハット」「犬」で。2024/12/20
hirune
53
漢字の使い方も言葉遣いも古めかしい…それもそのはず、半世紀以上前に書かれた短編ミステリー集です。小柄で愛嬌のある顔をした若い女性教師が何か変だと思ったことを突き詰めて犯罪を未然に防いだり、解明したりする。窃盗犯とかはお話しして、盗品を返されたらそのまま逃がしちゃったりして、大らかです。ノッポで手足の長い女性のあだ名が蚊トンボスミス☆足長蜘蛛と言ってくれれば私だって「足長おじさん」のスミスさんだって分かったかも?こんな風に「足長おじさん」を使うなんて、男性作家にしては粋ですね(*^^*)2014/09/09
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