内容説明
石久藩の上士の子弟が通う藩学で虐げられ心身に深い傷を負った鳥羽新吾。庶民も通う薫風館に学舎を転じ、友を得た事で救われる。ある日父の兵馬之介が、突然帰宅する。家を出て正妻である母依子とは違う女と暮らす謎の多い父から、薫風館を探るよう命じられる。親友の栄太が襲われ、実行犯とみられた藩校のかつての学友たちが斬殺される。学舎にどんな闇が巣くっているのか。若き剣士たちの節義を描く時代小説の新しい風。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
岡山県生まれ。大学在学中から児童文学を書き始める。『ほたる館物語』で作家デビュー。『バッテリー』およびその続編で野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を受賞。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるき
30
あさのさんの若武者は、いつだって瑞々しい。体の成長に内面が追い付かず、周囲からの期待に応えようと悪戦苦闘する。理不尽に憤り、自分の未熟さに心が揺れる。若竹がしなやかに伸びる様は何度でも見たい。2019/08/13
tomtom
18
身分や立場が違っても3人が変わらないこと、はじめは感じが悪かった依子との関係が良くなったのは嬉しかった。文庫版でカットされたシーンも気になる。2023/11/16
PAO
12
「何より人は人によって変わる。これ、すなわち人の真理なり。おもしろい。そして、深い…何という生き物だろう」…(245頁)2022/05/13
アンベラー
11
いつもながら時代劇にしては読みやすく分かりやすい どこか現代にも通じる少年たち最初と最後は同じ若者たちだよねいつの世も友は大事に大切な仲間なのですね2024/01/31
あかつや
9
上士の子息が通う藩校で嫌な目にあった新吾は庶民も通う郷校・薫風館に籍を移す。そこでは自由な気風の中、信頼できる仲間も出来て心の傷も癒えていくが、ある日父からその薫風館に関わるとんでもない指令を受ける。大人の世界のいやらしい物事に爽やかな若者たちが異を唱える話。現代でならそうでもないけどお侍の時代だと命がけだな。やっぱよく切れる刃物を持った人が大手を振って闊歩してる世界は怖いわ。少年たちの友情も良かったけど、話が進むに従って新吾の御母堂の評価がうなぎのぼりに上昇していく。これは正調のツンデレってやつですね。2022/07/30