内容説明
母のようにだけはなるまい、と心に決めて生きてきた。なのに、気付けば母と同じことをしている自分がいる。この娘も、母や私のようになってしまうのだろうか――。貧困、いじめ、シェアハウス、シングルマザー、そして信仰。我が子の幸せを願うとは、いかなることか? 世の毒親物とは一線を画し、ここに母娘小説は極限を見る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
103
『R18文学賞読者賞』を受賞した作家さん。R18関連ならではとまではいきませんが、なんとも言いがたいセクシャルな雰囲気が作品から漂ってきます。果たして本作は人間ドラマなのか、ちょっとしたサスペンスなのか、悩ましいトコでした。母と娘の確執、歪んだ愛情が全体を覆い、男性に対する厳しい目線も綴られています。ボリュームのわりにあまりすんなりと読み進めれなかったのは、終始ダークな雰囲気に包まれていたからかもしれません。読むタイミングが違っていたら、もう少し印象に残り、深く楽しめるコトができたかもしれず、残念です。2024/03/31
あも
94
現実ってきっとそう。誰も決められたゴールに向って生きてはいないし、自分自身で決めたことも思いすらも変わる。本当にそうだったのか、記憶も変わっていくのか。それすら曖昧で。良い意味でも悪い意味でも創作臭さの感じられない小説を書く作家。正解なんてどこにもない。その時その時でままならない心と体に惑わされ、あちらこちらへ揺れ動いては、血を流し、また立ち上がる。どうしたって時間は過ぎて、暗い路地に急に光が射すこともある。堂々巡りの末にまた別の場所へ辿り着く。喜びも憤りも、正も負も、生きて感じるすべてが等価にいとしい。2019/02/05
fwhd8325
58
難しい作品でした。何だかざわざわしていました。私は、このざわざわ感が決して嫌いではありません。この作家さんもとても鋭い感性を持っていますね。その感性の方ありのような作品だと思います。頭で考えるな、感じろ!そういうことなんだと思います。2018/12/08
ネギっ子gen
52
【支えて、くれはらへんやろか】本書を強く推薦したいが、読む人を選ぶ本なので……。前作『ただしくないひと、桜井さん』を読んだら、思わず著者の他作品も読んでみたくなった(といっても、この作家は寡作で、世に出ているのは2作だけのようですが)。題名・装幀が良く、間に挟まれる京都弁も感触が良いのに、冒頭からは絞めつけられるような記述が続いて、読み進めるのが辛かった……。「幕屋」という女性専用の民間のシェルターが話の中心になるが、モデルは「イエスの方舟」でしょうね。「宗教学科」卒の作者らしい作品とも言えようか……。⇒2022/08/30
うどん
49
うーん?よく分からなかったです。2018/11/11