内容説明
傷つきたくない。だから私は透明になることを選んだ――。危うい友情、いじめが消せない学校生活…そんな只中にいる高2の愛花は、息を潜め、当たり障りのない毎日をやり過ごしていた。本当の自分がわからない不確かな日常。そしてある日、愛花はそれまで隠されてきた自身の秘密を知ってしまう。親にも友達にも言えない、行き場のない傷心をひとり抱え彷徨い、町はずれのトンネルをくぐると、そこには切ない奇跡の出会いが待っていて――。生きる意味と絆に感極まり、ボロ泣き必至!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カメ吉
41
菊川作品らしい時間がループして奇跡を起こす物語で最後に次々に繋ががっていく手法はいつもながら見事でした。 主人公の愛花は中学時代に友人を庇いイジメの標的になった過去を持つ女子高生で今また同じ状況に立たされ悩む。更に両親との血の繋がりがない事実。八割以上は重苦しい雰囲気で進行して読むのが辛かったのが難点でした。最後は感動的な結末で作者の思いが伝わったので良かったです。2018/11/09
aki
21
Kindle Unlimited// この作品の主人公、愛花と同じく、学生時代は本当の事を言えば全てが壊れる気がしていました。大人になった今はとても小さな事に思えるけどあの頃は学校という場所は全てでした。作品を読みながらそうだった、私もこの言葉が欲しかったな、等と思いながら読了。後半、まさかの展開に驚き、泣きました。素晴らしい作品でした。2021/07/12
NOIR
19
家庭と学校、本心の居場所が無い優等生愛花が、とある出会いから週末だけ逃げ場を見付ける青春小説。加害者でも被害者でも無い虐め、両親への不信、心の機微がリアルで感情移入して苦しくなるけど、時折表れる暖かい人達に救われます。物語後半まで気持ちを落とされて・・・終盤章「奇跡」から頭の中の景色がガラッと変わり、繋がり出す。感動シーンは既視感めいた物を感じて泣くほど感動は出来なかったけれど、落として落として上げる作品で面白かった。2018/12/06
輝rin
5
一人の少女が辿り着いたパン屋さん。そこは、居場所になるべき場所だったのかもしれない。それが全てなのかもしれない物語。 優しさと温もりを織り交ぜた物語は、一気読みが可能ですw2018/11/30
ゆう
1
★★★★☆ 苛められていた過去から、周囲との関わりは必要最低限に抑え、安全な生活を願う少女。しかしそんな日常も徐々に崩れていって…。 物語の中で少女が葛藤し、自分で自分がわからない。そんな少女の心情に共感でき、苦しかった。 この本からは、人間関係について学ぶべき部分が非常に多い。中でも物語の中心になってくる、苛めに対して向き合ういい機会になった。 少女の心境についてリアルに描かれているため、学生にこの本を通じて人の痛みについて考えるきっかけになればと思う。 本を閉じたとき初めて、タイトルのよさに気づいた。2022/01/21