内容説明
森川晶は、営業部の若きエリート社員。仕事を他人に任せず、何でも一人で抱え込み、残業と休日出勤をしながら、いつもパニック状態。ある日、彼を高く評価している猛烈部長が会社で殺される。死に至る断末魔の表情がコピーされ、社内にばらまかれていた。この全社騒然の異常犯罪で、森川が疑われるが……。会社人間たちの心理をリアルに描きながら、最後に号泣のどんでん返し! 感動のミステリー。
目次
一 会社を休みたい!
二 係長? それがどうしたの
三 部長が殺された
四 断末魔の表情が二百五十枚
五 晴れた日には葬儀が似合う
六 辞めたいけれど辞められない
七 別離の予感
八 やっぱり会社を休みたい
九 秦野部長を殺した犯人は……
十 絶対に新人賞をとってやるぞ
小説新人賞 応募原稿 プロメテウスの休日 森川晶・作
エピローグ――東海林からの手紙
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
135
ほとんど私の今の願望がそのまんまタイトルになっているなと思えるエバーグリーンな名作サラリーマン小説です。吉村達也さんは初読みなのですが、現代に生きる社会人が永遠に抱え続ける深いテーマの大人の寓話だなと思えましたね。ミステリ自体は飾りと言って良い水準作ですが、作中作「プロメテウスの休日」は行き止まりの袋小路から脱出する素晴らしい発想でしたね。会社人間の性が引き起こした夫婦の諍いの残念無念な結末には悲哀の涙を誘われましたが著者はきっと同様の悩みを抱える夫婦を救おうという願いを込めて本書を書かれたのでしょうね。2019/09/14
カブ
48
久しぶりの吉村達也作品。もう、先生の新作には出会えないのだなぁ~と寂しく思っています。殺人事件はあっけなく解決しますが、その後の展開にそう来たか!とちょっと嬉しくなります。作中の小説も楽しめます。2018/11/10
RED FOX
10
「会社の仲間を見るとそこが会社空間だと思ってしまう条件反射に」土日無し残業、出世レース、パワハラ、俺が家族を食わせてるのに、な社畜の向かう先は。2021/05/09
kthk arm
6
2025年35冊目。内容的には、そんなにびっくりするようなミステリーでもない(笑)けど、三人称敬語体の地の文が、寓話的な味わいを醸し出してて面白い。当時との価値観の違いが多少はあるものの、会社員なら、少なからず身につまされる。2025/04/03
めぐり
6
タイトルが面白かったので手に取ってみました。だいぶ時代が変わってしまって現代だとどういう設定になるのかな。2019/01/17