内容説明
1927年、パリ。銀行家の父を亡くしたマドレーヌは、その莫大な遺産を相続する。しかし、その地位を狙う者は多かった。裏切りと詭計に遭いながらも、彼女は闘い生き抜こうとするが。ゴンクール賞受賞作『天国でまた会おう』三部作、一気読み必至の第二作登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
353
復讐劇…というあらすじを鵜呑みにしてはいけない。ギュスターヴがああいう行動に出たのも、アンドレにあんなことさせる環境を作ったのも、全部マドレーヌ自身に負うところが大きい。実際ギュスタ―ヴは、色々と仕掛けはしたけれども、嘘はいっておらず、マドレーヌの自業自得感が強すぎて、感情移入を阻む。戦後混乱期に、必死に生き抜こうと足掻く人間賛歌として読めば、展開の早さやリズム感が楽しい。そこに善悪の物差しはない(アンドレの行為だけ別)。ポールにキラリと光るものが見えたり、下巻でどういう風になるのか楽しみ。前作より好き。2019/04/08
ケイ
133
「天国でまた会おう」は三部作らしく、これが第二部。とはいえ、これは第一部と比べれば文学的と言うよりモンテ・クリスト伯ばりの復讐劇ありきのように思える。それが成立するための残酷なお膳立てが最初に整うが、そうなった理由を誰も探さないというのがなんか興醒めで...。他人の気持ちを想像する人がいないのよね。みんな、自分、じぶん、ジブンで。マドレーヌが本気出すあたりから楽しくなってきた。2019/01/31
ゆのん
95
『天国でまた会おう』の続編。何不自由なく暮らしていたマドレーヌ。実業家の父親の死、息子の大怪我、そして周囲の策略に呑まれ全てを失う。どのように反撃に出るのが続きが大いに気になる。早速下巻へ。2018/12/03
hiro
93
初めて読んだルメートルの作品『その女アレックス』に衝撃を受けた。続けてヴェルーヴェン警部が活躍する他の作品も読み、ルメートルを追いかけることにした。しかし、先日読んだ『監禁面接』には失望した。気を取り直し復讐譚だということだけを知って、この作品を読みだした。上巻の三分の二は、不幸な出来事が次々に起こり、悪意を持った人たちの罠にはめられ、1929年の世界大恐慌で完全に身ぐるみを剥がされてしまった主人公マドレーヌが描かれている。そして4年後、マドレーヌの復讐が始まる。復讐は果たせるのだろうか。下巻へ進む。2019/02/20
のぶ
84
「天国でまた会おう」の続編らしいが、この本単独で十分に楽しめると思った。主人公のマドレーヌは実業家。一大帝国を築いた実業家の葬儀が行われているところから物語は始まる。そんな最中に故人の孫7歳のポールが三階の窓から落ちる。その後のポールは車いすでの生活を強いられ、マドレーヌはポールの世話に人生を費やすことになる。上巻ではミステリーの要素はほとんどなく、石油のトレーディング等経済小説の印象を感じさせる。ただ、富豪ぞろいの登場人物に陰謀が蠢いている雰囲気が漂う。この先どんな展開が待っているのか?感想は下巻で。2019/01/11