内容説明
1928年12月、パリから戻った詩人は九幕の幻想喜劇『南京虫』を完成する。翌29年2月モスクワ初演。メイエルホリド演出、ショスタコーヴィチ音楽、美術はククルイニクスイとロトチェンコの布陣。初日を見届けた詩人は、劇評も見ず、翌日パリへ発つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
34
久し振りにマヤコフスキー。詩かと思いきやこれも久しぶりの戯曲。さらにSF風味。思想だ革命だと言いつつ結局我が身が可愛いだけの俗物プリスイプキンを寄生虫にたとえるのはいかにもという感じ。では彼を安全なところから見物する連中はどうなのか。むしろ彼らの方こそ技術や科学文明の寄生虫じゃないのか。そしてプリスイプキンの考え方を我々は必ずしも否定できない。「自分だけ良ければ」はダメだが我が身を幸せにできぬ者が社会正義を叫ぶのも違う。まず己が変わる。その姿を見た誰かも変わる。世界を良くしていくにはその積み重ねしかない。2021/08/24
保山ひャン
1
マヤコフスキーのSF的戯曲。ではあるが、今回読んで、SF的なイメージはあまり受けなかった。現代の話として読めてしまうからだろう。2018/03/15
まどの一哉
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マヤコフスキーはソビエト新社会の闇を早くも嗅ぎ取って警告を発していたのか。それとも単に愛好するヴェルヌやウェルズの世界を踏襲したのか。いずれにせよ愉快だがやりきれないディストピアで、明るい未来でないからこそ今でも楽しめるものとなっている。2017/09/05
葛
0
ヴラジーミル・マヤコフスキー著 小笠原豊樹訳 2017年3月28日初版第1刷印刷 2017年4月14日初版第1刷発行 発行者:豊田剛 発行所:合同会社土曜社 用紙:竹尾 印刷:精興社 製本:加藤製本2020/02/08